トヨタ自動車は16日、新たなマーケティングやモビリティ事業を開発する新会社を来年1月に電通グループと設立すると発表した。外部の知見や最新技術を活用し、ステークホルダーとの対話やマーケティング手法などを刷新、「モビリティカンパニー」への変革を急ぐのが狙いだ。

 トヨタが66%、純粋持ち株会社の電通グループが34%を出資し、持ち株会社と2つの事業会社を設立する。事業会社のうち1社はトヨタの広告子会社、デルフィス(土橋代幸社長、東京都千代田区)を母体とする。持ち株会社と事業会社のうち1社は、昨年10月に電通から入社したトヨタの山下義行・国内販売事業本部副本部長が社長を兼務し、デルフィスを母体に新設する事業会社の社長にはトヨタで国内販売事業本部と渉外広報本部の副本部長を務める長田准氏が就く。両社長ともトヨタ本体の役職を兼務する。

 事業を統括する持ち株会社のもと、デルフィスを母体とする事業会社は①信頼されるブランドづくりに向けたコミュニケーションの革新②時代の変化を先取りしたマーケティングの変革③移動支援など新たなモビリティ事業の開拓―などを手がけ、別の事業会社は、これらの具現化を含め、小売り領域のデジタル革命を先導する役割を担う。資本金や会社所在地、陣容などはこれから詰める。

 トヨタは「モビリティカンパニーへの変革」を掲げ、異業種と積極的に手を組んだり、MaaS(サービスとしてのモビリティ)事業に乗り出したりしている。ブログやSNS(会員制交流サイト)、動画やオウンドメディアなど情報発信の主体や手法が多様化する中、こうした取り組みを今まで以上に世の中に発信したり、提案したりすることで事業変革のペースが上がるとトヨタは期待している。