トヨタ自動車は8日、中古車のオンライン販売を始めたと発表した。パソコンやスマートフォンから24時間注文でき、登録書類を郵送でやり取りするなどして納車まで来店しないで済むようにした。年内に全国展開し、将来的には年間5万台の販売を目指す。

 「トヨタ中古車オンラインストア」を開設した。まず、関東と中部、関西の系列販社22社が参画し、低価格帯を中心に約200台の在庫をそろえた。年内に参画販社を増やし、掲載台数を500台程度にまで増やす。全車に1年保証(ロングラン保証)を付与するほか、一部車両は車検を通して販売する。クレジットの与信もオンラインで済ませる。

 運営はトヨタ子会社で中古車オークション事業を担うトヨタユーゼック(北口武志社長、千葉市美浜区)が担う。系列販社が掲載を希望する中古車を同社がヤード(車両置き場)に集め、検査や掲載用画像の撮影を済ませてオンラインストアに掲載。閲覧者からの問い合わせにも応じる。2週間経っても売れなかった車両は系列のオークションで換金する。

 販社は、ストア経由の成約にトヨタユーゼックへ手数料を支払い、納車やアフターサービスを受け持つ。サービス開始時は納車やアフターサービスを出品店に限るが、将来的には出品店以外でも納車できるようにする考えだ。

 トヨタによると、中古車購入客の7~8割は何らかの形でウェブサイトを閲覧している。コロナ禍で非接触ニーズが高まっていることもあり、まずは系列販社がオークションに回す低価格帯の中古車を中心にオンライン販売に踏み切ることにした。

 昨年、一部の販社で試行したところ、掲載車両の2割が売れた。オークションで換金するより小売りした方が利益率が高い上、アフターサービスや買い替え需要にもつながる。トヨタとしてはオンライン販売のノウハウを積み重ね、将来的には高価格帯の中古車も扱っていきたい考えだ。