事業用自動車の事故は深刻な被害をもたらす可能性が高い

 国土交通省の事業用自動車事故調査委員会は、創設から5年間に調査した重大事故を再検証した「5年総括」を公表した。同委員会が発足した2014年6月から19年7月までに報告された計37件の事故について再度分析を行い、事故発生の要因など5つのパターンを割り出した。これによると「過労運転による居眠り事故」が最も多く、次いで「周囲の状況や積荷に合わせた適切な運転ができなかった」ケースなどが多かったことが分かった。同委員会は検証結果を今後の調査分析に生かすとともに、国交省が策定を進めている次期「事業用自動車総合安全プラン」づくりにも役立ててもらう考えだ。

 5年総括では昨年7月までの特別重要調査対象事故8件と、重要調査対象事故29件について共通項などを調べた。最も多かった過労運転による居眠りは11件で、すべての事例で運行管理が不適切だったことが認められた。同委員会では5年総括でも改めて、法令順守の徹底などを訴えている。ほぼ同数の10件だったのが、周囲の状況や積荷に合わせた適切な運転操作ができなかったケースで、16年1月に長野県軽井沢町で発生したスキーツアーバスの転落事故もこれに当たる。運転者に対する安全や技術の教育の重要性や、天候悪化などに応じた的確な運行管理が必要としている。

 このほか、「前方不注視(わき見運転)」が6件、「体調急変や体調不良」と「速度超過状態で走行するセミトレーラーの横転事故」がそれぞれ4件となっている。

 これらの類型には当てはまらない事例も2件あった。この一つがブレーキの故障を放置したことで起きた追突事故。もう一つが飲酒によるものだった。運転手がフェリー乗船中の飲酒で、下船時の点呼も未実施だったことに起因している。同委員会では「重大以外の交通事故でも飲酒によるものが最近目立つようになっている」と警鐘を鳴らしている。

 事業用自動車は、ひとたび交通事故が発生すれば、周囲を含めて深刻な被害をもたらす可能性が高い。社会的影響が大きな重大事故が目立っていたことから、同委員会を立ち上げ、事故要因の調査などを委託している。同委員会の報告書は国交省の政策などにも生かされている。