一人乗りロボット「ラクロ」と谷口社長
宅配ロボット「デリロ」
警備ロボット「パトロ」
ラクロの運転席に搭載されたタブレット

 ZMP(谷口恒社長、東京都文京区)は、低速自動運転の一人乗りロボット「RakuRo(ラクロ)」を本格導入し、免許返納後の高齢ドライバーの移動手段を支える〝ポストマイカー〟としての提案を加速させる。提案先の一つとして9月以降、東京都中央区の高層マンション「リバーシティ21」エリアで、ラクロを使った高齢者向けの自動移動支援サービスを開始する。将来的にはラクロの活動領域に宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」、警備ロボット「PATORO(パトロ)」を組み合わせることで、ロボットと住民が共存する「ロボタウン構想」の推進を図る。

 同社は2019年に、自動運転技術を応用した一人乗り自動走行ロボット「ラクロ」を発表した。以降、同社のオフィスがある東京都文京区の住宅街や、東京駅周辺の人通りの多い丸の内仲通りなどで実証実験や体験会を開催してきた。

 9月以降に開始するリバーシティ21エリアでの高齢者向けの自動移動支援サービスは、利用者が毎月定額の料金でラクロを利用できるというもの。ラクロはマンションの地下駐車場に配置される。利用者はスマートフォンのアプリで事前に予約しておく。予約日時にラクロのQRコードをスキャンすることでロックが解除され、利用可能となる。ラクロのタブレットに表示されたスーパーやコンビニ、郵便局などの行き先や散歩コースなどをタッチすることで、利用者が運転せずに自動で走行する。料金は月額乗り放題料金で1万円(税込み)、または10分370円(同)の時間制料金となる。

 同社ではラクロのほか、2種類のロボットを開発・製品化している。これらのロボットを組み合わせることで都市全体のロボット活用の促進を目指す。特に、新型コロナウイルスの感染拡大により、誰もが人との接触に対して敏感になっている中、物流分野において、非対面の荷物の引き渡しが行われている。こうした状況下で活躍が期待されているのが、人と接触することなく指定場所に荷物を届けることができる宅配ロボット「デリロ」だ。谷口社長は「一人暮らしの女性など防犯面で不安があるという人にとっても安心して活用できる」と語る。加えて、人手不足が進む物流業界にとっては、ラストワンマイルの配達をロボットが担ってくれることで、ドライバーの負担軽減にも寄与するものとして期待されている。一方で、警備ロボット「パトロ」は施設屋内外の巡回警備を自動運転で行うことができる。消毒液散布も可能で、コロナ禍で導入が進んでいる。

 これらのロボットで特徴的なのは目の表現だ。ラクロは周囲の人に親しみを持ってもらえるよう、愛嬌のある動きで周囲に次の動きを知らせたり、感情を表現したりすることができる。一方で、警備ロボットであるパトロは周囲を警戒していることを表すために険しい目つきになっている。これらの目のデザインは谷口社長自らが大学で研究し、開発したという。高輝度LEDディスプレーを使用することで、昼間の明るい空間でも見やすく、鮮明に表現することができるようになった。

 同社のロボット製品に搭載する技術の中核となるのが、これまで同社が培ってきた自動運転車開発向け技術だ。谷口社長は「完全な自動運転車の完成にはしばらく時間がかかる。当社としてはロボット分野に注力しつつ、自動運転車の開発に向けた基盤技術の開発も並行して進めていく」と話した。

(保知 明美)