ブリヂストンは21日、バイアスタイヤを生産する南アフリカのポートエリザベス(PE)工場の閉鎖に向け、労働組合と協議を開始したと発表した。11月の閉鎖を目指す。同社は7月に発表した「中長期事業戦略構想」内で、将来的な市場の縮小を前提とした拠点の統廃合を進める方向性を示しており、今回のPE工場閉鎖はその第1弾となる。

 PE工場は農業機械用、鉱山車両用バイアスタイヤを生産する。生産能力は日産約500本。バイアスタイヤからラジアルタイヤに市場のニーズがシフトしており、操業を継続するのが難しいと判断し、閉鎖を決めた。

 シェアリングや自動運転が普及すれば、将来的に新車市場は縮小し、タイヤ需要も減少が見込まれる。そのため、同社はタイヤから得られるデータを活用することで、従来の売り切り型のビジネスから、データから利益を創出するソリューションビジネスに舵を切った。数を追う拡大戦略ではなく、高付加価値タイヤを軸にしたバリューチェーン構築を目指す。

 生産能力の適正化を図るため、拠点の統廃合も進める。石橋秀一代表執行役CEOは、7日の2020年1~6月期決算会見内で「キャパシティが小さい拠点、設備が古い拠点、高付加価値タイヤを生産できない拠点」が統廃合の対象になると明言した。今回閉鎖するPE工場も「(同社の他工場と比べて)規模が小さく、生産能力も低い」(同社)ため、統廃合の対象になった。PE工場も含め、同社のタイヤ工場はグローバルで52拠点あり、今後も拠点網の再構築を加速していく。