キャンピングカーのシェアリングサービスなどを展開するカーステイ(宮下晃樹社長、東京都新宿区)は20日、金沢工業大学と石川県白山市と連携し、地域密着型の観光業活性化事業「ローカル・バンライフ・プロジェクト」を白山麓地域で開始すると発表した。車中泊仕様のバンやキャンピングカーのユーザー向けに、地元住民が中心となって民家、商店、事業所などの駐車場や空き地を同社のシェアサービス「カーステイ」に登録し、観光や文化体験の誘致を図る。産学官連携で遊休観光スポットを再発掘し、地域活性化や交流人口の増加につなげる。

 軽トラックの荷台に木製の家を載せた「モバイルハウス」を金沢工業大建築学部宮下智裕准教授の研究室と共同開発する。県内の木材を使用して地域産業の活性化にも貢献する。車内で就寝や仕事、飲食ができるプライベート空間を持つ「動くホテル」として観光事業に活用する。9月から旅行者向けに地域観光プランの提供を始める予定。車中泊スポットは県内に12カ所設けた(7月10日現在)。

 モバイルハウスでの旅行は、新型コロナウイルスの感染予防策として「3密」を避けることができる上、公共交通機関や宿泊施設が少ない地域でも自由に旅行を楽しむことができる。そのため、アフターコロナの時代に適した新しい旅行手段として注目を集めている。

 地方は、人口減少や少子高齢化に伴う交通機関の廃線、宿泊施設の廃業、後継者不足など生活や経済基盤の存続は深刻な問題となっている。モバイルハウスで駐車場などに滞在する「バンライフ」による観光は、最小限の観光投資で既存の遊休観光スポットや社会インフラを利活用できる点で地方活性化に有効という。

 同社は、東京都が主催するスタートアップ支援事業に選出されており、同事業のパートナーが石川県白山市であることから同プロジェクトの第1弾目の地として白山麓地域に決めた。今後は石川県内を含めて全国でも推進していく。