観光需要回復への期待は大きい(写真はイメージ)

 国土交通省と観光庁は10日、新型コロナウイルス感染症で打撃を受けている観光業の支援策「GoTo(ゴートゥー)トラベル事業」を22日に開始すると発表した。当初は8月上旬の導入を見込んでいたが、事実上前倒しで実施する。同事業は旅行代金と現地の店舗などで使える「地域共通クーポン」による補助の二本立ての構成だが、まずは早期に準備が整う旅行代金の支援から着手する。新型コロナによる外出自粛や、訪日外国人旅行客の大幅減の影響により、交通事業者を含む観光関連業の経営は深刻なダメージを受けている。事業開始を前倒しすることで、地域経済の回復を早めていく狙いだ。

 赤羽一嘉国土交通相が10日開いた閣議後会見で明らかにした。同事業では1人当たり1日2万円を上限として旅行代金全体の半額を国が支援する。支援額のうち、7割は宿泊代などの旅行代金が対象で、残り3割は現地の観光施設などで利用できるクーポンを発行する仕組みとなっている。まずは準備に時間がかかるクーポン以外の支援を先行実施していく。

 22日のスタート時点ではシステム対応が間に合わないことから、旅行者には後日還元することで対応する。宿泊証明書などをとり、事務局に郵送やオンラインで申請する仕組みとする。対象期間であれば、すでに予約を入れているものも支援対象とする方針。27日以降、旅行業者や予約サイトなど準備が整った事業者から、割引を適用した形での旅行商品を販売していくという。クーポンは不正利用の防止策などを整え、9月の導入を予定している。

 足元では新型コロナの感染者数が増加傾向にあるが、国交省や観光庁では感染抑制と経済活動の両立を図りながら事業を進めていく方針。このためにも、旅行者向けと業種別の感染防止のためのガイドラインの順守を引き続き呼びかけていく考えだ。