ヤマハ発動機は、1955年7月に日本楽器製造(現ヤマハ)のモーターサイクル製造部門が分離独立した二輪車メーカーです。当時日本楽器の社長だった川上源一氏は、楽器製造に使う木材資源を考えると楽器事業の永続的な発展は困難と判断し、モーターサイクル製造に着目しました。50年代はすでに無数の企業が二輪車業界に参入しており、ヤマハ発は最後発でした。すでに淘汰が始まっていた中でも、二輪車製造の将来の発展性を信じて進出しました。

 現在、二輪車事業は売上高の6割超を占めるヤマハ発を支える主力事業です。日本国内にとどまらず、インドや中国、東南アジア、中南米などにも生産拠点を展開しています。2019年12月期通期(19年1月1日~12月31日)の二輪車販売は、ベトナムやインド、台湾といった新興国で伸び悩みましたが、欧州市場が好調でした。

 二輪車以外にも、ボートや船外機、電動アシスト自転車、産業用ロボットなど幅広く事業を展開しているのも特徴です。現在、全国の自治体などで行われている自動運転の実証実験や環境負荷を抑えるグリーンスローモビリティの実証事業で使われているゴルフカートベースの車両はヤマハ発製のものが多く用いられています。

 ヤマハ発は、MaaS(サービスとしてのモビリティ)に代表される移動価値の変化に対応した事業展開を進めています。地域の高齢者の移動を支える足として電動ゴルフカートや電動アシスト自転車の活用促進に力を入れています。

 自動運転の分野では他の企業との連携を深めています。低速自動運転技術開発力の強化を目的にティアフォーに出資しています。20年には同社と、工場内の自動搬送システムを手がける合弁会社を設立しました。