日産の新型ローグ

 日産自動車は、今秋に北米で販売を開始するSUVの新型「ローグ」を公開した。同社の米国事業は、商品ラインアップの〝高齢化〟に伴う販売減と、インセンティブ(販売奨励金)に頼った値引き販売が収益を悪化する悪循環に陥っている。収益悪化に歯止めをかけるべく、米国販売の約3割を占めるローグを新型車に切り替えて反転攻勢に乗り出す。

 ローグは、米国における日産の最量販車種となっている。2019年1~12月の販売台数は35万447台と、米国販売の約3割を占める。現行ローグ(2代目)は、国内で販売する現行「エクストレイル」(3代目)の米国版として13年にデビューした。今回発表した新型ローグについても、現行エクストレイルの後継モデルとして投入される見通しだ。

 約7年ぶりに全面改良するローグは、商品力を引き上げて登場する。安全技術では、歩行者検出機能を備えた自動緊急ブレーキなどを含む「ニッサン・セーフティ・シールド360」を全車に標準装備する。運転支援システム「プロパイロットアシスト」は、次世代のレーダーとカメラを採用。さらにカーナビゲーションと連携して高速道路でカーブやジャンクションを走行した際に速度を落としたり、高速出口でドライバーが減速するのをアシストするなど機能を高度化させた。

 インテリアは幅12・3㌅のフルデジタルメーターを採用し、ローグで初めて10・8㌅のヘッドアップディスプレーも備える。外観は現行型の曲線的なものからエッジのきいたスクエアなものとなり、奇しくもローグと兄弟車となる前の初代、2代目エクストレイルを彷彿とさせる力強いデザイン。ボディサイズは全長が3・8㌢㍍短く、全高が0・5㌢㍍低くなっている。

 日産は今後1年半の間に新型車を世界市場に12モデル投入する計画だ。ローグはこの新商品群の第1弾として発表されたもので、近くコンパクトSUV「キックス」も国内発表する見通しだ。これにより、現在5年超となっている平均モデルサイクルを4年以下まで短期化、ラインアップ全体の〝鮮度〟を高める。同時に23年度までの4カ年事業構造改革計画「日産ネクスト」では、車種数を現状の69から2割削減し、55車種まで絞ることで選択と集中を加速させる。

 新型車の投入を急ぐ背景には、商品のモデルサイクルの長期化が招く販売不振がある。米国販売の主力車種であるローグだが、19年実績は前年比15・0%減となった。現行モデル投入から6年以上が経過したことで販売は低迷している。

 米国市場における主力車種であるローグの全面改良で事業構造改革に弾みをつける。現行ローグは国内で販売するエクストレイルの兄弟車であり、新型も次期エクストレイルとして投入されるとみられ、国内市場でも需要喚起に期待が高まる。