三井化学と子会社のプライムポリマーは、ポリプロピレン(PP)コンパウンドを生産する欧州初の自社製造拠点の営業運転を始めたと発表した。オランダ・リンブルグ州にある工場で年間生産能力は3万㌧。同拠点の稼働により、欧州における製造、販売、開発の一貫体制が整う。欧州に拠点を持つ日系を含めた自動車、部品メーカーに対する軽量化ソリューションの提案強化につなげていく。

 営業運転を始めたのは「Mitsui Prime Advanced Composites Europe B.V.」(以下、ACE)。三井化学が75%、三井物産が15%、プライムポリマーが10%出資し、2018年6月に設立した。建設中だった工場が完成し、量産品の出荷を始めた。

 同拠点が稼働したことで製造、販売、開発の連携体制を強化していく。ACEが入居する産官学共同出資によるオープンイノベーション拠点のインフラを活用。「優秀な人材の確保や分析、解析を行う企業との協業を進めることで先端技術を積極的に取り込み、グローバルへ発信する欧州系自動車メーカーの要求に高いレベルで応えていく」(同社)考えだ。

 PPコンパウンドは自動車の軽量化に寄与する素材。世界各国の環境規制が強まる中で、PPコンパウンドを採用したバンパーやインパネ材などの需要が増えている。

 今回、欧州で自社製造拠点を構えたことで「開発のスピード化や柔軟性も高まり、生産技術面でも顧客の高い要求に応えることが可能となる」(同)として、さらなる受注拡大に結び付ける。

 三井化学グループは現在、世界8地域(日本、アメリカ、メキシコ、欧州、タイ、中国、インド、ブラジル)に製造拠点、6地域(日本、アメリカ、欧州、タイ、中国、インド)に研究拠点を持つ。