自動車は購入しただけでは、公道を走らせることはできません。その自動車を誰が所有し、使用するのかを国に届け出しなければなりません。国はこの情報をもとに、その自動車が安全基準を満たしているか検査した上で登録し、ナンバープレートを発給します。こうした「検査登録制度」を踏まえて、自動車はようやく公道を走ることが認められます。

 なぜ、こうした制度が取り入れられているかというと、社会と調和のとれた安心かつ安全な交通環境の構築につなげるためです。自由に移動ができる自動車は便利な乗り物ですが、交通事故を引き起こしたり、犯罪の道具として使われるといった恐れもあります。また、自動車の性能や品質が十分に維持されていないと安全性を損ねたり、排出ガスの劣化をはじめとする環境負荷の拡大などにもつながりかねません。2019年末現在の日本における自動車保有台数は8234万1762台ありますが、検査登録制度によって1台ごとに識別しやすくなっています。このため、万一の事態が起こっても責任の所在を明確にでき、迅速な対応を図れ、社会秩序を守ることができます。

 自動車は新車を購入するだけでなく、中古車を購入したり、知人から譲り受けることもあるでしょう。また引っ越しなどで、当初登録していた住所と異なる場所に移動するケースもあります。こうした場合、ユーザーには自動車の登録情報を変更することが義務付けられています。さらに、一定期間が経過した自動車は車両の検査を受け、品質や安全基準が満たされているか確認する必要もあります。これらによって常に正しい情報へと更新し、安全性も担保しているのです。

 それぞれの手続きのわずらわしさを解消しようと、国はオンライン申請を可能にした自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)を05年に導入しました。以来、サービス対象地域や適用範囲の拡大などを進めており、これからの検査や登録手続きの主力の手法に育成していく考えです。