日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が金融商品取引法違反の容疑で2018年11月に逮捕されてから約1年を迎えるのを前に、弁護団が日本外国特派員協会で記者会見し、弘中惇一郎弁護士は「(ゴーン被告の)無罪を確信しており、逮捕・起訴は違法で裁判を打ち切って解放するべきだ」と述べ、公訴棄却を求めていく方針を改めて示した。

弘中弁護士は、有価証券報告書に報酬を少なく記載したことによる金融商品取引法違反や、個人的な投資の損失を日産に付け替えようとしていたことなどについて会社法違反(特別背任罪)の容疑について、いずれも「無罪」を主張した。「ゴーンさんの逮捕・起訴は日産から追い出すために検察が協力したもので、極めて不正なもの。調査チームを作ってから(ゴーン氏を)逮捕する材料を探したのであって、犯罪があってから(調査チームを作ったわけ)ではない」と日産の幹部を批判した。

加えて「検察は公益のために活動すべきで、企業のために活動するのは間違っている。捜査の手続きでも違法性がある」と、検察も批判。さらに、事件に関しては「経済産業省も無関係ではない」と述べ、ルノーと日産の統合問題が一連の事件の背景にあるとの見方を示した。

また、弘中弁護士はゴーン被告の近況について「厳しい保釈条件の中、よく耐えて元気に活動している。毎日、弁護士事務所に来て裁判記録を読んだりしている。裁判所の許可を得て娘さんと京都に旅行したこともある」と説明。

ゴーン被告は逮捕されてから1度も記者会見していないことに関しては「裁判をどう闘うかに関心を持っており、事件に関して今、話すことは考えていない」と会見の予定はないとしている。

現在、公判前整理手続きを進めており、東京地方裁判所は2020年春に初公判を開くことを提案しているという。