村瀬社長

高速道路大手のWILLER(ウィラー、村瀬茂高社長、大阪市)は、グループ会社が運営する京都丹後鉄道の沿線地域と、ひがし北海道地区で、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)事業に参入すると発表した。観光を促進するアプリの提供に加え、定額乗り放題のサービス提供も検討する。2021年にMaaS事業の全国展開も視野に入れる。

8月から、京都とひがし北海道で展開する観光MaaSアプリは、出発地と目的地の2地点を設定すると、各交通機関とルートを検索できるのに加え、途中の観光地やレストラン、アクティビティなど、5カ所まで経由地を指定した検索も可能。QRコードを使って経由地も含めてアプリ上で一括予約と決済も可能で、自由な個人旅行を簡単に設定できる。10月からは多言語にも対応してインバウンド観光客の需要も取り込む。

ひがし北海道では、WILLERが全体統括するほか、JR北海道、阿寒バス、網走バス、
斜里バス、くしろバス、金星釧路ハイヤー、阿寒観光ハイヤー、網走ハイヤー、斜里ハイヤーや飲食店が対象となる。

京都では京都丹後鉄道、丹後海陸交通などの沿線バス、タクシー、ケーブルカー、遊覧船、地域のお土産店、道の駅、飲食店などが対象となる。

観光MaaSアプリの提供地域は順次、拡大していく方針で、2021年には全国展開する計画だ。

また、同社では、期間中、一定エリアの複数の交通機関が定額で乗り放題となるMaaSサービスを京都で展開することも検討している。運転免許証を返納した高齢者など、移動手段に困っている人がマイカー並みに気軽に外出できる環境を整える方針。定額料金は月額5000円程度で検討している。

同社の村瀬社長は「公共交通を軸に、空間・時間・経済の空白を埋めていくサービスが必要」と述べ、都市間高速バス、オンデマンドバス、サブスクリプション(定額乗り放題)、自動運転で、移動に関する社会課題の解決に取り組む方針を示した。