ピストンリングの主力メーカーが自動車エンジン向け以外の非エンジン部品の受注を拡大している。各社は、内燃機関車の2030年前半でのピークアウトが予測される中、既存技術の応用やオープンイノベーションで新製品の開発や新規事業の創出を進めている。非エンジン部品や電動化、や自動運転などCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる技術革新への対応を進めてきた成果が表れつつある。

 日本ピストンリングは金属粉末射出成形法「メタモールド」で非エンジン部品のラインアップを広げている。メタモールドは金属粉末とバインダー(結合剤)を加熱混合した材料を射出成型した後、焼結する手法で複雑な形状などにも対応できる。自動車の電動パワーステアリング(EPS)用ボールねじ向け部品の量産を決めたほか、工作機械や産業用ロボットにも展開する。同社の山本彰社長は「EPS向け部品はメタモールドの強みを生かせる。今後の需要増への期待も高く、拡販に努める」としている。

 機械部品以外の製品でも動きが広がっている。TPRはベンチャーとの協業による蓄電池のニッケル正極用材料の水系バインダーの量産を来年にも始める。現在主流の有機溶剤系と比べて耐熱性が高く、外部環境や急速充電で発生する熱による劣化を抑えることができる。国内外自動車メーカーや電池メーカーなどへの提供を見込んでいる。また、産学連携で協同開発した活物質などに使う電極用材料のサンプル提供も始めたほか、電極の導電助剤に使えるカーボンナノチューブ(CNT)の量産技術を確立するなど電極材料事業の受注獲得を進めている。

 リケンは自動車の電装化加速を見据えた新製品の開発を進めている。ギガヘルツ帯の電磁波(ノイズ)を抑制する「ノイズ抑制シート」のサンプル提供をすでに開始したほか、ミリ波レーダーのSN(信号/ノイズ)比を向上させる部材やケーブルの伝導ノイズを抑制する部材を開発した。自動運転システムや第5世代移動通信システム(5G)などの自動車分野やIoT(モノのインターネット)化の進展でデジタル化する産業用機器などでの展開も視野に入れている。