◆偽装見抜けず、手腕に苦言

 三菱マテリアルは28日、外部の特別調査委員会がまとめた子会社の品質データ偽装に関する最終報告書と再発防止策を発表した。自動車部品を製造するダイヤメット(新潟市)が1970年代後半からデータ偽装を行っていた可能性が浮上し、調査の結果、前社長が偽装隠ぺいに加担するなど組織的改ざんが明らかになった。三菱マテリアルの竹内章社長は一連の不祥事を受けて役員報酬を3カ月間、全額返上することを決めたが引責辞任を否定、自身が陣頭に立って組織の立て直しに取り組む姿勢を示した。ただ、子会社の不正を見逃してきた竹内社長の企業統治能力を疑問視する声は強く、取引見直しなど、グループの事業に影響を及ぼす可能性がある。

 最終報告書では三菱アルミニウム、立花金属、ダイヤメットなどのデータ偽装は、自社の工程能力にかかわらず「受注」「納期」を優先する一方で、品質保証やコンプライアンス遵守に対する意識の低い企業体質に原因があると分析。三菱アルミは組織が板製品、箔製品など、製品ごとに縦割りで、部門間交流がほぼ無い閉鎖的な状態だったことも、不正の温床になったと指摘。

 三菱マテリアルがグループ各社の企業風土改革やガバナンス強化が必要という認識を持ち改善に乗り出したにもかかわらず、長年続いていた子会社の偽装行為を見抜けず、早期に是正できなかったなど、経営陣の手腕に苦言を呈した。

 不正の責任をとるため、竹内社長と4月1日付けで相談役に退く矢尾宏会長は3カ月間、月額報酬を全額返上するほか、他の代表取締役も報酬を一部返上する。

 三菱マテリアルは再発防止の一環として、4月から新たなグループガバナンスの強化策に取り組む。ただ、不正製品の納入先は762社にも及ぶ。竹内社長は自らの処分を報酬返上にとどめ改革の陣頭指揮を執るが、任を全うするには力不足という冷ややかな見方もあり、信頼回復に向けた道のりは険しい。