ホンダ、看板車種の復活で「軽とミニバンの会社」から脱却 EV損失のブランド毀損から回復できるか

  • 自動車メーカー
  • 2026年4月9日 05:00

電気自動車(EV)の大幅損失にあえぐホンダが、四輪事業の立て直しに向けて国内販売強化に乗り出している。戦略の一つに据えるのが、「プレリュード」や「インテグラ」など一時代を築いた看板車種の復活だ。現在、国内の商品構成は軽自動車とミニバンに偏っており、販売台数の低迷と収益性の悪化に陥っている。再投入するモデルの販売台数はいずれも限定的ではあるものの、過去のレガシー(遺産)を活用し、ブランドイメージの再構築につなげることができるか。

「ホームカントリーでブランドが薄れている」。国内事業を統括する川坂英生執行職は危機感を募らせる。かつてはF1(フォーミュラワン)への挑戦や、スーパースポーツ「NSX」によって走りのイメージが強かったが、今は「N-BOX(エヌボックス)」や「フリード」が販売の主力となり「軽とミニバンの会社と言われる」と川坂執行職は自虐する。

ホンダが軽やミニバンといった「大衆車ブランド」となった背景には、四輪事業の収益改善に向けた構造改革がある。国内においては、狭山工場(埼玉県狭山市)の閉鎖もあり、モデル数の絞り込みを進めてきた。販売台数が少ないNSXや「S660」といったスポーツモデルを廃止し、「オデッセイ」や「アコード」などかつての主力車は国内生産から輸入に切り替えたことで台数が減少。こうしたホンダ“らしさ”を象徴する車種が影を潜めたこともブランドイメージを変化させる要因となった。

商品力が高いエヌボックスが車名別販売でトップを維持する一方、販売現場では営業スタッフが売りやすい車種の商談に集中してしまう弊害も生んだ。2020年には登録車を強化してきたスズキに台数を抜かれ、2位の座を譲った。

24年ぶりに復活したプレリュードについて、三部敏宏社長は「開発を始めたころはプレリュードと言う名前はついていなかった」と明かす。最盛期の1980~90年代に比べればスポーツクーペの市場規模は小さいが、プレリュードを懐かしむ50~60歳代の男性をターゲットに据える。

約20年ぶりに復活を果たす「インテグラ」は、米国で展開する「アキュラ」ブランド車として輸入し、国内に投入する。政府が米国生産車の認証手続きを簡素化したことで導入を決めた。同制度を活用し、SUV「パスポート」も導入する。

「インサイト」は中国で生産、販売する電気自動車(EV)「e:N P2」をベースに日本向けに車名を変更した。「CR-V」は22年に国内生産終了のタイミングで販売を終了したが、新型車はタイ生産車に切り替えて4年ぶりに再投入する。

ホンダの国内ラインアップは一気に拡大するが、CR-Vは年間4800台、インサイトは3000台の限定販売となり、いずれの復活車も販売台数は少ない。車種が増えることで販売効率が下がる懸念もある。

次世代EV「ゼロシリーズ」の一部車種の開発中止に伴い、国内では27年以降に投入する計画だった同EVを軸とした販売戦略も見直す方針だ。巨額な損失に伴うブランドイメージの毀損(きそん)も避けられない。ホンダはEVの一部開発中止と同時に国内を「注力国」と位置づけ、商品ラインアップを増やしてブランド力を強化する方針だ。

ただ、復活する看板車種の販売台数は限定的であり、選択肢は増えても国内販売のテコ入という意味ではショートリリーフにとどまる。国内の復活を果たすには、かつての名車のようなホンダらしさを具現化したヒット車を早期に市場投入する必要がある。

(編集委員・福井 友則)

関連記事