パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS、永易正吏社長、横浜市港北区)は、カーナビゲーション事業の規模を縮小させていく方針だ。車載事業の収益の柱だったが、市場環境が大きく変わった。従来のハードウエア主体のビジネスから、ソフトウエアが価値を決めるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)領域へと舵を切る。
ナビ事業については、すでに開発費を最小限に抑える体制に移行している。ナビの製品モデルとしての世代交代についても「限定的になるだろう」(永易社長)とし、大規模なアップデート(更新)や新規プラットフォームの開発は控える方向だ。特に、後付けの市販ナビや、ディーラーオプションとして展開する市販事業については、市場自体が今後、縮小していくとの見立てでいる。
将来的な完全撤退については「取引先との話があるため、現時点では申し上げられない」(同)と明言を避けている。会社の経営資源の使い道を、衰退するハードウエアから成長領域へと振り向ける。
背景には、スマートフォンの普及や車両自体の通信機能強化、さらにはコックピットのデジタル統合化が進んだことがある。三菱電機が事実上の撤退を決め、パイオニアなども苦戦を強いられる中、PASも「既存の取引先との関係やアフターサービスは維持するものの、新規の開発には投資を抑え、効率化を徹底する」というスタンスを鮮明にしている。
カーナビ事業の縮小と裏表の関係にあるのが、「モビリティUX(ユーザー体験)」事業の強化だ。PASは同事業の売上高を現在の3千億円から5千億円規模へ引き上げる計画を掲げている。
今後は、単に目的地へ誘導する「ナビ」という単機能ではなく、人を深く理解し、安全かつ快適な移動空間を提供する「ひと理解ロジック」や「統合コックピット」に注力する。具体的には人工知能(AI)を活用した感情推定や、高度なセンシング(感知)技術を用いた安全・安心への対策だ。
永易社長は「収益モデルは、新車を売るというビジネスから、売った後の付加価値(ソフトウエア・アップデート)や、所有から利用(ロボタクシーなど)へと激変している」と話す。カーナビという「デバイス売り」のビジネスモデルが限界を迎える中、「移動そのものの価値を高めるプレーヤー」への脱皮を急ぐ。















