「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」が開幕した10月30日、日本自動車工業会の正・副会長を務める自動車メーカーのトップが〝愛車〟について語り合うトークイベントが実施された。世代の異なるトップが、青春時代のクルマの思い出や最近購入したモデルの裏事情を、普段のスーツ姿とは異なるカジュアルな服装で赤裸々に語った。
今回のJMSでは、会期中にモビリティ社会の構築に向けてさまざまなテーマを取り上げるトークイベント「未来モビリティ会議」を開催している。自工会の正・副会長によるトークセッションはイベントのこけら落とし企画として実施した。
会場には正・副会長の愛車を展示し「豊かで夢のあるモビリティ社会のあり方」について議論することが題目だ。
普通免許で運転できるキャンピングカー「トラヴィオ」を展示した片山正則会長(いすゞ自動車会長)は「未来の愛車」として紹介。「仕事を引退したら孫と一緒に日本を一周したい」と語った。
鈴木俊宏副会長(スズキ社長)は学生時代に所有していたという初代「アルト」を展示し、女性を乗せたデートで「ドキドキ」した思い出を語った。佐藤恒治副会長(トヨタ自動車社長)は、中古で購入した日本初の量産ミッドシップの1998年式初代「MR―2」を展示。走行性能に惚れ込んでいることを明かしつつ、エアコンが装備されていないことから今夏は「人間が先にオーバーヒートした」と笑った。
イヴァン・エスピノ―サ副会長(日産自動車社長)が展示したのが「フェアレディZ」だ。米国カリフォルニアのディーラーから日本に取り寄せた左ハンドル車で「通勤に使って頭をリフレッシュしている」という。三部敏宏副会長(ホンダ社長)は、2週間前に届いたばかりの新型「プレリュード」を紹介。鈴木副会長に対してデートカーの本家であることをアピールすると、エスピノーサ副会長が初代プレリュードのライバルだった「シルビア」を紹介するなどして会場を沸かせた。
設楽元文副会長(ヤマハ発動機社長)は「ユーザーファースト」の影響で納車までに1年ほど待たされた二輪車「XSR900」を展示した。「納車待ちの間に社長に就任したため、ほとんど乗れていない」という。初期受注が好調なプレリュードがすぐに納車された三部副会長を羨ましがっていた。
日頃、激しい販売競争を繰り広げている自動車メーカーのトップ同士だが、モビリティに対する熱い想いは共通だ。トークイベントも和気あいあいと盛り上がっていた。


















