ファインシンターを除くトヨタ自動車系中堅部品メーカー5社が発表した2026年3月期の通期業績予想は、トヨタの堅調な車両生産を受け、東海理化、フタバ産業、大豊工業が上方修正した一方、米国関税や為替の影響が不透明なことから、愛三工業と中央発條は据え置いた。各社は自動車メーカーと交渉して関税分のコスト吸収を進めるほか、固定費の削減やサプライチェーン(供給網)の見直しなどで不透明な先行きに備える。
10月30日に公表した。東海理化は、上期の米国関税による営業利益への影響が11億円あったものの、原材料高が落ち着いたことなどもあり相殺できた。ただ、二之夕裕美社長は「長期的には、(サプライチェーンの)設計を変えながら、現地生産を考える必要がある」と語った。
自動車・部品の米関税が15%で確定したことを踏まえ、各社は価格転嫁の交渉など対応を急ぐ。フタバ産業は生産の9割以上が供給地のため上期の関税影響は4億円にとどまった。魚住吉博社長は、輸出量が多いカナダから米国の分に関し「価格転嫁のほか、カナダ政府からの保証金で相殺できないか努力している」と話した。
愛三工業は、上期の関税影響が12億円だった。現段階では、関税分の回収はほとんどできていないというが、加藤茂和副社長は「顧客との交渉次第。通期では(全額回収して)ゼロになると予想している」と語った。通期は過去最高の営業利益を見込む。
中央発條は上期の関税影響が2億円だった。通期見通しに関し、北浦啓一社長は「影響額を算定することが困難」として、4~6月期に引き続き、通期見通しには関税影響の金額を織り込まなかった。
大豊工業の新美俊生社長は、北米の市場環境について「(トヨタだけでなく)ホンダも堅調で、ビッグスリーも大きな影響はない。一時の不安要素は減っている」と説明した。上期で3億2千万円あった関税影響も、下期に向けて回収が進むことで「これより小さな金額で収まる」とみる。
ファインシンターは、会計システムの更新に伴い、決算発表を5日に延期している。
(2025/11/26 修正)


















