タクシー配車アプリ各社、相次ぎ新サービス 高齢者や訪日客の移動を簡単操作で支援

  • 交通・物流・架装
  • 2025年8月1日 05:00

 タクシーの配車アプリ各社が、移動の不便の解消や利用者拡大に向けて新たなサービスを競っている。高齢者や訪日観光客の利便性を高めたり、タクシー以外の複数のモビリティの配車予約も可能にするサービスなどを、今夏から相次ぎ開始した。タクシー業界ではドライバー不足をはじめとした厳しい経営環境が続くが、アプリ各社は乗客のニーズを踏まえてさまざまなサービスを具体化し、効率的な乗車の確保と移動の支援につなげていく考えだ。

 Uber Japan(ウーバー・ジャパン、山中志郎代表、東京都港区)は、7月から配車アプリに国内初の高齢者向けサービス「ウーバーシニア」を追加した。ウーバーグループが6月に米国で開始したもので、世界約70カ国で導入が進められている。

 新サービスでは、スマートフォンの苦手な高齢者がアプリをより簡単に操作できるよう工夫した。まず高齢者が使用するアカウントは、家族が作成・登録を代行できる。そして自宅や病院、スーパーマーケットなど利用頻度の高い乗降場所を登録すれば、数回のタップで配車手続きが完了する「シンプルモード」を用意。最小限の操作でタクシーを呼べるようにして、操作負担を抑えた。

 家族は自分のスマートフォンから配車手続きや目的地設定の代行、さらにリアルタイムの乗車状況や現在位置の確認、ドライバーとチャットでのやり取りもできる。支払いは、登録した家族名義のクレジットカードでも可能にした。

 国内では、運転免許証を返納した高齢者の移動の足としてタクシーの利用拡大が見込まれいる。そして70歳代のスマートフォン保有率が8割を超えた中、同社は配車アプリの簡単操作によって移動支援につなげていくことにした。

 山中代表は「私自身も、両親や祖父母が安心して移動できるサービスが必要だと感じていた。そうした声に応えるため、見やすく、使いやすいインターフェースを提供し、シニアの自由で安心な移動のサポートを目指す」と狙いを述べた。

 日本交通(若林泰治社長、東京都千代田区)などが出資するGO(中島宏社長、同港区)は、7月半ばから台湾の和泰汽車(ホータイ・モーター)と連携し、訪日観光客が自国で利用する同社の配車アプリ「yoxi(ヨクシー)」を通じて、GOの配車アプリに加盟するタクシーを利用できるようにした。GOは、2022年から中国、韓国など海外のモビリティサービスとの連携を進めている。今回の連携によって、訪日外国人数の上位3位を占める中・韓・台との連携を完了、インバウンドのタクシー需要を吸収する基盤を強化した。

 さらに同社は、配車アプリを使用しない訪日客の利便性を高めるため今夏、日本語・英語に対応した新しい後部座席タブレットの本格導入を開始する。自社開発品で、36都道府県・7万台以上の車両に搭載する現行タブレットを順次入れ替える計画だ。

 新型タブレットは決済機能付き。画面サイズを現行の10インチから13インチに大型化して視認性と操作性を向上した。日本語、英語に切り替え可能な画面に加え、音声通訳機能も搭載して訪日客と乗務員のコミュニケーションを支援する。システムはSIM(加入者識別モジュール)を2枚搭載する構成として、通信障害への耐性を向上しスムーズな決済につなげた。

 中・韓・台の訪日客は配車アプリを使用するため、後部座席タブレットの利用は少ないと判断して切り替え言語は英語に絞った。

 配車対象をタクシー以外のモビリティに広げる動きがみられる。

 ゼンリンとアルパインマーケティング(酒井龍哉社長、東京都大田区)は、公共ライドシェアと乗り合いタクシー、さらに一般のタクシーという複数モビリティの乗車予約に対応した配車アプリ「NORAN(ノラン)」を共同開発した。まず、福岡県宗像市の「宗像版公共ライドシェア」実証事業で運用を開始する。

 地域空白地帯における移動の効率化と、二次交通の不足による観光周遊の困難などの解消に向けて、複数のモビリティを一括比較できる仕組みを作った。ドライバー不足により、個々のモビリティの車両数が限られがちちな地域でも、配車の選択肢を増やすことで利便性向上につなげる考えだ。

 新アプリでは、利用者が入力した出発地・到着地などの条件に応じ、配車可能なモビリティを案内する。配車情報は車両端末と連携しており、複数の乗客を乗車させる乗合型の運行にも対応可能な経路探索機能を実装した。同システムの関連技術は、宗像市、アルパインマーケティング、ゼンリンの三者共同で特許を出願した。

 宗像市の実証では当面、配車は公共ライドシェアのみとする。今後は段階的に対象となるモビリティを広げ、ユーザーの利便性向上とタクシー会社の業務支援につなげる。

 ソニーグループや国際自動車(石井仁社長、東京都港区)などのタクシー事業者が出資するS.RIDE(エスライド、橋本洋平社長、同)は、7月末から配車アプリにハイヤーの配車サービスを追加した。当面の対象は東京都中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区および羽田空港とする

 国際自動車、寿交通、大和自動車交通、東京エムケイと連携し、実現した。ビジネス利用などを想定する。

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