愛三工業は中期経営計画を発表し、最終2030年度の連結売上高を24年度比約1.7倍の5500億円、営業利益を同2.1倍の440億円などとする目標を掲げた。主力のパワートレイン事業では、M&A(企業の合併・買収)やアライアンスも活用して事業領域を拡大し、制御技術などエンジン周り全体に関わる「エンジンシステムサプライヤー」を目指す。電池パック市場への参入も目指す。
収益改善活動や為替影響により、25年度までの中計で掲げた売上高2800億円などの目標は前倒しで達成する見通し。「30年でもエンジン搭載車が市場の72%を占める」と想定し、構成部品からシステムへ事業領域を拡大する。インドなど新興国の燃料多様化も見据え、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)燃料対応の燃料ポンプなどラインアップを増やし、パワートレイン事業で30年度に5200億円の売上高を目指す。
電動化製品事業では、二輪と四輪の電池システム量産で同年度に300億円の売上高を目指す。すでにバスバー(導体棒)エンドなど複数の製品を受注しており、今後は5月に竣工する「Aisanみらい工場」(愛知県安城市)に設ける「マルチ組み付けライン」を活用し、多品種生産に対応していく。ソフトウエアや電子分野の人材獲得と育成にも注力し、こうした人員を現状の105人から30年には270人に増やす。
協働ロボットのノウハウをパッケージ化し、人手不足に悩む中小企業に提供したり、アンモニアから取り出した水素をインフラや発電機に活用するといった非モビリティ分野の事業化も目指す。
同社は、デンソーから譲り受けた燃料ポンプモジュール事業の設備を自社に移管する〝自前化〟を進めており、同製品の収益向上も見込める。野村得之社長は他のエンジン部品について「スロットルやEGR(排ガス再循環)関連などトヨタグループで重複する部品もある。日本全体でエンジン領域の競争力を担保するため、(再編の)選択肢がある」と語った。


















