訪問活動から帰ってきた若手スタッフが「せっかく訪問したのに留守のお客さまが大半、移動時間が無駄になってしまいました…」とガッカリした様子で店長へ報告していました。
電話やメールで簡単に連絡が取れる今の時代に、わざわざ足を運んでお客さまにお会いできなかったという結果は、一見すると効率の悪い仕事に思えるかもしれません。だからこそ、最近では訪問活動そのものを避けてしまう若手が増えています。しかし、セールスパーソンとして本当に差がつくのは、実はお客さまにお会いできた瞬間ではなく、「不在だったその瞬間」をどう捉えるかにあるのです。
不在だったご自宅の敷地内をウロウロすることはできませんが、公道からご自宅周辺の環境を確認するだけでも大切な情報は収集可能です。例えば、店舗からお客さまのご自宅までの道のりや、目の前の道路の交通量、道幅を確認するだけでも「ここは大型のSUVだと取り回しが大変そうだな」「植栽が死角になって出にくい入り口だから、安全装備が充実したモデルが良さそうだな」といった具体的な提案のイメージが湧いてきます。訪問とは、単にお会いして会話をするためだけの活動ではなく、お客さまが日ごろどんな道路環境で運転されているのかを肌で感じるための大切な活動です。
不在時に残すメッセージカード1枚も、将来の提案をバシッと決める強力な伏線になります。後日電話をした際「先日、ご挨拶にお伺いしてポストにお手紙を入れさせていただいた者です」と伝えるだけで、お客さまの中には「わざわざ自分のために足を運んでくれた」と誠実さが確実に伝わる人もいます。ただの売り込みの電話から、信頼関係のある会話へと関係性が変化します。
訪問でお会いできなかったからといって、その訪問が失敗になるわけではありません。今日の訪問でお会いできなくても大丈夫です。心を込めたメッセージをポストに残し、お客さまのドライブコースに思いを巡らせてみて下さい。一見すると無駄に思えるその訪問が、数カ月後のお客さまの深い信頼と、あなたにしかできない最高の提案をつくり出していきます。
文:株式会社プログレス 江原忠宏
〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、20年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、43歳。


















