深刻な若者の県外流出 整備学校で新たな動き 花壇自大と地銀が連携 販社が専門学校創立

  • The Paper, 東北, 地域総合
  • 2026年4月30日 05:00

 【仙台】少子化や進学時・就職時の県外転出増で若者人口の流出が深刻化する東北で、自動車整備士養成校を巡る新たな動きが相次いでいる。外国人整備士の育成・定着に向けて宮城県の自動車大学校と茨城県の地方銀行が連携協力協定を締結し、青森県でディーラーが創立した学校法人による整備専門学校が4月に開校した。いずれも、今後の東北のモビリティ社会を支える整備士の育成・輩出を目指す挑戦として業界関係者から注目を集めている。

 花壇自動車大学校(鮱名滿校長、仙台市青葉区)を運営する角川学園(角川重博理事長、同)と常陽銀行(秋野哲也頭取、茨城県水戸市)は1月20日、外国人材活用に関する連携協力協定を締結した。常陽銀が業務協力協定を結ぶインドネシアの教育機関の卒業生を、花壇自大が留学生として受け入れる。東北で外国人整備士の育成と自動車関連企業への就業支援の仕組みを確立し、整備士不足の課題解決を目指す。

 常陽銀は2025年12月、インドネシア政府公認の送り出し機関と職業高校・大学、インドネシア教育大学と業務協力協定を締結。いずれかの現地教育機関で日本語教育を受けた、または日本で日本語教育を受ける予定の卒学生に対し、送り出し機関を通じて日本での就業支援などに取り組んでいる。

 花壇自大は、27年以降にインドネシア人留学生の受け入れを始める予定だ。入学要件は日本語能力試験(JLPT)「N2」以上とする。留学生を2年間で国家資格取得の整備士に育成し、東北の自動車関連企業に輩出して整備士の確保に貢献したい考えだ。

 常陽銀が外国人材の活用推進で整備士養成校と連携協力を結ぶのは東北で初めて。24年12月24日に締結した水戸自動車大学校を運営する八文字学園(八文字和宏理事長、茨城県水戸市)に続いて2例目となる。

 地域経済の縮小や人手不足の解決を図ることは、地銀の本業の成長にも欠かせない重要課題である。そこで近年は、全国で地銀がさまざまな業種の企業と外国人材の活用に関する連携協定などを進める動きが活発している。国が27年4月に開始予定の「育成就労制度」(旧技能実習制度)を見据えた取り組みの一環とも考えられ、地銀と自動車整備養成校との連携事例が今後も増える可能性がある。

 4月には、北東北で唯一の自動車整備専門学校「モビリティアカデミー東北」(五戸豊美校長)が青森市で開校した。二級整備士コース6人、三級整備士コース2人の計8人が入学した。トヨタカローラ青森(大柳康司社長、青森市)が同校を運営する学校法人「創匠学園」を創立し、大柳社長が理事長を務めている。

 25年度に青森山田高校が自動車専攻科の生徒募集を停止したことを受け、同社から養成施設存続の提案を行ったのが学校法人と整備専門学校の設立に至る始まりだった。

 東北の中でも青森、秋田、岩手の各県は少子化と若者層の県外流出を背景に、将来においても整備士不足は避けられず、地方のモビリティ社会の崩壊につながりかねない。3県には技術専門校以外で2年間での整備士養成校が存在しないことも教育機会の減少につながっている。

 そうした危機感を背景に、同社は整備専門学校を青森に設立し、地元に還元して地方のモビリティ社会を支える人材育成に貢献したいとの考えだ。ディーラーによる整備専門学校の設立に関しては、神戸マツダ(橋本覚社長、神戸市兵庫区)も、学校法人「5HAPPY」(同理事長)の運営による「マツダ自動車整備専門学校(マステック神戸、山本修弘校長、神戸市兵庫区)」を4月9日に開校した。新入生は21人を数えた。

 とはいえ、東北における少子化や若者の県外流出は非常に深刻で、学校運営に暗い影を落としている。赤門学院(國分活妙理事長、仙台市青葉区)が23年4月に山形県飯能町に開校した「電動モビリティシステム専門職大学」は、大幅な定員割れで25年度以降の学生募集停止に追い込まれた。その後、アスキー創業者で元マイクロソフト副社長の西和彦氏らが4月12日、同大の運営を承継して27年4月に新設大学の開校を目指すことを山形県庁で発表している。

 宮城県では、県内に5校ある技術専門校を再編し、28年4月から仙台校に集約して「宮城県立高等技術専門校(仮)」を開校予定だ。自動車整備科は定員20人を計画する。現在、自動車整備科があるのは仙台校、石巻校、気仙沼校で、石巻校と気仙沼校は27年度生の募集を停止して、仙台校のみが募集を継続している。

(平野 淳)

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