日産、「あしゆび体操」で高齢者の事故防止へ 北里大学と共同開発 一般ユーザー向けに啓発活動

  • 自動車メーカー, 大学・研究
  • 2026年2月25日 05:00

日産自動車は高齢の運転者による事故を防ぐため、「あしゆび体操」を北里大学と共同で開発した。童謡「むすんでひらいて」のリズムで、足指に力を入れたり足首を前後させたりする。両者の共同研究では、足指の握力の低下が誤った運転操作につながるリスクがあることがわかっている。社会問題化する高齢ドライバーの事故を減らすため、啓発活動にも取り組んでいく。

「むすんでひらいて 手をうってむすんで」―。日産は2月24日、ららぽーと湘南平塚(神奈川県平塚市)内の「ウォークイン店舗」で体操の体験イベントを開いた。参加者は足指や足首を数分間、馴染みのある童謡のメロディーに合わせて動かした。川崎市の男性(78)は数分で握力が倍増したといい、「これだけ効果が出るとは思わなかった。普段は意識して動かさないが、科学的な証拠があるのが良い」と話す。

体操は高齢者の運動機能の維持を狙って考案した。日産と北里大学は2022年から共同で、交通事故の要因解明などに取り組んでいる。研究を通して、特に足指の力が衰えると姿勢が崩れ、素早い全身運動ができなくなり、ブレーキペダルだけでなくステアリング操作を含めた運転ミスにつながる恐れがあることを解明した。同体操を高齢者約50人が2カ月間続けた結果、足指の握力が平均約25%向上し、注意力や判断力の向上にもつながる結果も出たという。

高齢ドライバーによる重大事故が社会問題化する一方で、特に地方では買い物などで車が手放せない人々が多くいるのも事実だ。警察庁によると、23年に発生した死亡交通事故(歩行者含む)の約55%は65歳以上の高齢者が関係していた。同年の高齢ドライバーによる死亡事故は767件報告されており、対策が急がれている。

現在では75歳以上のドライバーが運転免許を更新する際、記憶力や判断力の検査が実施されている。ただ、理学療法士で北里大学准教授の上出直人氏は「認知機能に比べて運動機能分野の研究は比較的遅れていた。安全運転には体力や身体能力の維持も必要だと知ってほしい」と問題意識を話す。

日産は運転支援システム「プロパイロット」など技術開発と並行して、安全運転に向けた啓発活動にも力を入れていく方針だ。

「むすんでひらいて あしゆび体操」

音楽に合わせて、以下の7つの動作を繰り返す。

(1)足指に力を入れて「グー」の状態をつくる

(2)開いて「パー」をつくる

(3)足指を開いた状態で足裏を2回、床につける

(4)再び足指に力を入れて「グー」をつくる

(5)開いて「パー」をつくる

(6)開いた状態で足裏を2回、床につける

(7)足をつま先まで伸ばして床から持ち上がる

より強度がある上級編もある。手順は動画サイト「ユーチューブ」の日産公式チャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=aJEFIxoGJbQ&t=3s)でも確認できる。

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