ニコル、「BMWアルピナ」の輸入販売の歴史に幕 日本での累計販売は8000台 アフターサービスは継続

  • 自動車流通・新車ディーラー
  • 2025年12月30日

ニコル・オートモビルズ(東京都港区)が半世紀近く続けてきた、高性能車「BMWアルピナ」のインポーターとしての役目を12月31日に終える。メーカーがブランドの商標権を、ベース車を調達していたBMWに譲渡したため。今後、アルピナ事業はBMWが手掛けることから、国内でも既納客向けのアフターサービスを除きニコルが担ってきた役割は、ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン、長谷川正敏社長、東京都港区)に移る。

ニコルがアルピナの輸入を始めたのは1979年。元レーシングドライバーでニコル・グループ創業者のニコ・ローレケ氏が、「B7ターボ」の国内販売を開始したのがきっかけ。82年に設立したニコル・オートモビルズが、インポーター事業を担ってきた。これまで、メーカーの生産台数の厳格な管理の下に、安定した価格政策、ブランディングなどで希少性と信頼性を両立しながら、国内市場での存在感を確立。80~90年代に投入したモデルは現在もコレクターの間で、高価格で取引されている。

アルピナ車にとって、日本は重要な市場だ。グローバル販売台数は年1700~2000台で推移しているが、このうち国内では300~400台を占めている。これは本国のドイツ、大型市場の米国に続く世界3番目の水準だ。

国内での累計販売台数は約8000台に上る。BMW車をベースに高い走行性能だけではなく、快適性や乗り心地も追求したアルピナ車の魅力の浸透に取り組んできたことが大きかった。国内ではその存在感から、「アルピナ・マジック」という言葉も生まれた。

12月31日をもって、独アルピナは独自の車両開発や生産を正式に終了する。商標権を取得したBMWが引き継ぐ見通しだ。現時点での商品計画は未定だが、新たなアルピナ車を国内導入する場合、BMWジャパンが輸入元になる。

一方、ニコルは既存のアルピナ車向けのサービスや保証、補修部品の供給を継続する。長年の歴史の中で形成されたオーナー向けコミュニティーの支援も続ける。元のメーカーも1月に「ブルカルト・ボーフェンジーペン」に社名変更するが、同社との連携も続け、車両のレストア(再生)や認定中古車などの事業を展開していく。

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