ニデックは11月14日、車載関連事業などで合計約870億円の損失を計上すると発表した。契約損失への引当金や減損損失を織り込んだ。併せて、グループで発覚した不適切会計処理問題をめぐる改善計画の策定方針を、東京証券取引所に同日提出した。
車載事業において、顧客との契約履行に伴い発生する可能性の高い損失への引当金として364億7100万円を、保有する非金融資産固定資産に関する減損損失として316億7400万円を計上した。またステランティスとの合弁会社NPeにおける仕入れ先からの求償債務として、194億9500万円を計上した。
これらを反映した25年4~9月連結決算は、売上高が前年同期比0.7%増の1兆3023億300万円、営業利益が同82.5%減の211億700万円、純利益は同58.6%減の311万9100万円で、中間期としては2年連続の最終減益。通期業績予想は非公表。4~6月の四半期決算短信および4~9月の半期報告書について、監査を実施したPwCジャパン有限責任監査法人は、「レビュー結論不表明」としている。
同社グループでは、経営陣が関与または認識する形での不適切会計処理の疑いが発覚し、東京証券取引所が特別注意銘柄に指定していた。今回の損失も、一連の問題を受けて9月に設置した第三者委員会の調査委対象に含まれるか、その可能性があるとしている。今後の調査次第では、損失金額や範囲が広がる恐れもある。
同日都内で開いた記者会見で、岸田光哉社長は事態を陳謝。「儲けた人だけが評価される現状の人事制度の改革や、それに適合した人材育成、恣意性が介入しないプロセスの策定に取り組む。すべての陋習(ろうしゅう)を打破し、全社、全世界を挙げて改革していく」と説明した。その上で「ニデックといえば『すぐやる、必ずやる、できるまでやる』という精神。そこに『必ず〝正しく〟やる』という倫理観を付加する」とも強調した。
経営責任については「今後も逃げずにブレずに陣頭指揮をとっていく。より良い企業に再生していくことが私自身が果たすべき最大のミッションだ」と続投意思を表明。「それ以外の(永守重信グローバルグループ代表も含む)経営責任は第三者委員会の調査を待って判断する」とした。













