ホンダは20日、原付二種の電動二輪車「CUV e:(イー)」の販売を開始した。同社の汎用型交換式電池を2個使用し、四輪車が中心の幹線道路でも不足ない加速性能と60キロメートル弱の航続距離を実現した。電池を2個必要とするため充電器などを加えた乗り出し価格は52万8千円と割高だが、東京都の補助金を利用すると33万6千円、電池をサブスクリプション(定額利用)とすることで初期費用は9万8200円まで抑えることができる。サブスク利用のメリットが高いだけに、交換式電池の普及につながるか試金石となりそうだ。
ホンダの個人向けの国内電動二輪は、23年に発売した原付一種の「EM1 e:」に続く第2弾となる。CUV e:は「クリーン」「アーバン」「ヴィークル」の頭文字を組み合わせたもので、1994年に官公庁などにリース販売したホンダ初の電動二輪「CUV―ES」の流れをくむ。
国内では原付二種に属するが、アジア市場では最量販クラスとなる排気量110cc相当の電動スクーターであり、ホンダにとってはグローバル戦略車でもある。外観デザインはシンプルかつクリーンに仕上げ、灯火類をLEDとしてリアのホンダロゴを発光させるなど先進性も演出する。シート下には交換式の電池を2個搭載するため、日本仕様では収納スペースを確保するためにリアキャリアを装備する。
同社が新開発したモーターは、小型化と高効率化を実現した。磁気回路と構造を最適化したことでエネルギー効率を高め、航続距離の伸長に役立てた。走行モードは「スタンダード」「スポーツ」「エコ」の3つから選択可能。モーターを通常走行と逆回転することで後進をアシストする「リバースモード」も用意する。
動力源は着脱可能な電池「ホンダモバイルパワーパックe:」を採用する。EM1 e:の1個(48ボルト)に対して、CUV e:は2個利用することで96ボルトのEVシステムを採用する。航続距離は時速60キロメートルの一定走行を条件とする国土交通省届出値で57キロメートルだが、欧州届出値では最大79.8キロメートルまで延びる。交換式電池は、Gachaco(ガチャコ、渡辺一成代表、東京都港区)が設置するバッテリー交換ステーションのサブスクサービスに対応する。
車体が小さく価格が安い原付二種のバイクに対し、重量約10キログラム、価格約10万円の交換式電池を2個利用することは、コスト増や重量増、設置スペースの問題などのデメリットもある。後藤香織チーフエンジニアは「街乗りに必要な動力性能を確保する上で必要だった」と説明するが、一方で交換式電池を増やすことによるコスト圧縮や開発期間の短縮効果などのメリットを強調する。
ホンダによると先行するEM1 e:ユーザーはほとんどが本体と電池を同時購入していたという。補助金があるとはいえ、電池を2個購入するコスト負担は大きいだけに、CUV e:ではサブスク利用拡大の期待も大きい。同モデルは年700台の販売計画を立てているが、発売までの受注台数は200台を超えているという。
(編集委員・福井 友則)


















