ホンダとGSユアサが、建設予定の滋賀県守山市笠原地区の電気自動車(EV)用電池工場の着工を最長で3年間延期することがわかった。EV普及の鈍化に加え、同地区内での埋蔵文化財発見による対応が必要となった。

 両社と共同出資のブルーエナジー(中村純社長、京都府福知山市)の3社は、滋賀県守山市の横江地区と笠原地区にEV用電池工場を新設し、2035年には年間20㌐㍗時を生産する計画だ。横江地区に新設する工場は計画通り27年4月に稼働し10月に量産を始める予定だが、2拠点目となる笠原地区の建設を延期する。35年の生産目標は変更しない。3社の共同事業の事業総額は約4341億円で、そのうち約1587億円は経済産業省から助成を受けている。

 ホンダは、30年度に3割としていたEV・FCV(燃料電池車)販売比率が、主力の北米を中心としたEV普及の低迷で2割程度にとどまる見通しを示している。これを踏まえ、カナダで計画していたEV専用工場と電池工場は稼働時期を2年程度延期することを決め、電池関連投資は従来の約2兆円から1兆円に引き下げた。

 自動車メーカーの国内電池工場をめぐっては、EV需要減でトヨタ自動車が福岡県苅田町に建設予定の工場の立地協定の締結を延期。日産自動車は、福岡県北九州市に予定していたリン酸鉄リチウムイオン電池の工場新設を中止した。