シャープは17日、事業の柱と位置付ける「ブランド事業」や研究開発の取り組みを発表する事業説明会を、都内で開いた。昨年9月に公開した電気自動車(EV)のコンセプトの取り組みについて説明し、鴻海(ホンハイ)精密工業のEV「モデルA」をベースに開発。家電などで培った技術や人工知能(AI)を生かしてシャープならではのEV開発を進めていることを明らかにした。新たなモデルは近く披露する、という。
説明会には各事業の担当役員や、種谷元隆CTO(最高技術責任者)が登壇。今後の方針などをアピールした。EV事業のほか、「スマートライフ」や「スマートワークプレイス」事業を説明し、AI関連などを強化する方針を示した。
EVは、親会社の台湾・鴻海が手掛ける全長4.3㍍の小型MPVのEV「モデルA」をベースに開発を進めている。昨秋公開したコンセプトモデル「LDK+(プラス)」は、全長約5㍍の大型ミニバンタイプだった。
EVでは、操作などのユーザーインターフェース(UI)、空室やコミュニケーションなどの機能、AIとIoT(モノのインターネット)を組み合わせるAIoTなどの機器連携を推進。エッジAIも活用し、将来はライドシェアやルームシェアなどの活用も視野に入れる。種谷氏は「多様な技術を融合し、シャープならではのEV開発を進める」とした。
このほか、スマートライフでは、従来の家電などの暮らし関連の製品にAIoTなどを搭載し、生成AIを活用したサービスも展開。海外展開も強化する。また、スマートワークプレイスでは主にオフィス向けに、AI活用やSaaS(サービスとしてのソフトウエア)などのデジタルサービスを進めていくことを展望した。
同社は今年5月、2028年3月期まで3カ年の中期経営計画を策定。液晶パネル事業で、鴻海に工場を一部売却することなど、事業再構築を進めている。