マツダは4日、2027年に発売する電気自動車(EV)を防府工場(山口県防府市)で生産すると発表した。強みの「フレキシブル生産」で、EVを含めた多様なパワートレインと車両を一括生産して投資やコストを抑える。同社は円筒形リチウムイオン電池をモジュール化する工場を山口県岩国市に建設しており、防府工場周辺でEV基幹部品のサプライチェーン(調達網)を整える。
マツダは3月の事業戦略説明会で、既存の国内工場でEVを生産することを明らかにしていた。米テスラなどが「ギガキャスト」などの革新技術で生産効率を高め、国内でもスバルがEV専用工場を建設する。対照的にマツダは、既存の設備をフル活用することで初期の設備投資を85%抑える。量産準備期間も8割短縮できるという。多様なパワートレインモデルを同じラインで製造するフレキシブル生産のノウハウを生かし、EVも内燃機関車やハイブリッド車(HV)と混流生産する。
27年投入予定のEVは、専用プラットフォーム(車台)を用いた初の車両だ。車台は技術進化に合わせ、さまざまな形状の電池を搭載できる設計とし、プラグインハイブリッド車(PHV)を含め、複数車種への活用を視野に入れている。
防府工場は変量生産と自動化を両立させ、生産効率を高めている。無人搬送車(AGV)上でパワートレインなどを組み立て、車両へ自動で組み付ける。
マツダは、同工場から約80キロメートルに位置する岩国市で車載電池の組立工場を建設し、27年度に稼働する予定だ。セル(単電池)はパナソニックエナジー(只信一生社長、大阪府守口市)が持つ大阪府内の工場から調達する。
電動駆動ユニットやインバーター、モーターといったEVの基幹部品の開発では、オンドやヒロテック、今仙電機製作所など地場サプライヤーと共同出資会社を立ち上げている。開発から調達、生産の各機能を中国地域に集中させることで、コスト競争力や生産の柔軟性を高めていく。