パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS、永易正吏社長、横浜市都筑区)は3日、中長期戦略や新ビジョンを発表した。コックピット関連のHPC(高性能コンピューティング)事業で、売上高を2035年度に24年度比約4倍の1兆円規模を目指すことなどを掲げた。市場拡大が見込まれるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)分野を軸に攻勢をかけていく。
同社が昨年末、米投資ファンド傘下の経営に移行したことを踏まえ、都内でメディア向け説明会を開催。永易社長らが登壇した。
中長期戦略のコア事業として、コックピットHPCとキャビンUX(ユーザー体験)を設定した。キャビンUXは、センシングや人を理解して状態を推定するアルゴリズム(計算手順)、各種機器類などを連携させて、「移ごこちデザイン」カンパニーを目指す。永易社長は「車の知能化や多様化に対応し、一人ひとりに寄り添った価値提供を進める」と考えを示した。
事業活動によるキャッシュ創出力を見る指標として、EBITDA(税引き前・利払い前・償却前利益)からCAPEX(資本的支出)を引いた「E―C」を重視。将来の新規株式公開(IPO)に向け、キャッシュ経営を徹底する。27年度の「E―C」で、24年度比約3倍となる1200億~1300億円前後を目指す。
また、アジェンダとして①経営速度の飛躍的向上②生産性・コスト競争力強化③企業価値向上を重視する。従来の事業部制を変革し、地域軸経営に変更する。
SDV対応や車室空間事業で成長シナリオを描きつつ、29年までのIPOを検討していく。