コモビをPRする坂元社長

 豊田鉄工(坂元康彦社長、愛知県豊田市)は、小型パーソナルモビリティ「Comove(コモビ)」を発売した。まずは介護施設向けのレンタル用として展開し、年間200台の導入を見込む。早ければ今夏から一般販売も始め、2026年以降はシェアリングサービス用にも売り込む考えだ。高齢者の移動支援から観光地の近距離移動など、段階的に用途や販路を広げ、将来的には年間1千台規模の販売を目指す。

 コモビは運転免許証なしで乗れる三輪の電動モビリティ。最高時速は6㌔㍍で、1回の充電で約12㌔㍍走れる。福祉用具を扱う豊通オールライフ(豊通AL、亀井健男社長、名古屋市中村区)と連携し、まずは介護施設などでのレンタル利用を見込む。利用料は月2万~2万4千円を想定する。

 一般販売では、豊通AL経由のほか、自動車ディーラーやサイクルショップでの取り扱いを視野に入れる。シェアリングサービスはソフトバンク系のオープンストリート(工藤智彰社長、東京都港区)と組んで進める計画だ。点検や消耗品のメンテナンスなどは納入先、それ以外の修理はメーカー側で対応するなど、アフターサービス体制も整えていく。

 同社は、自動車のプレス部品やトリム材などの樹脂部品、ペダル類や電子部品などを手掛ける。12年から新規事業の開拓に向け小型モビリティを開発し、実証を重ねて乗り心地などを改良してきた。トヨタ自動車のパーソナルモビリティ「C+walk(シーウォーク)」シリーズも手掛けたノウハウも生かした。坂元社長は「完成車としてつくりあげるノウハウを学んだ」と語った。

 免許不要で乗れる電動モビリティは自動車メーカーからスタートアップまでさまざまな企業が手掛ける。坂元社長は「年齢を問わず、親しみやすいデザインを目指した。一人でも多くの人に乗ってもらいたい」としている。