積極的なM&A(企業の合併・買収)戦略で急成長してきたニデックが事業戦略を転換する。2027年度の売上高目標を24年度比1割増の2兆9千億円にとどめる一方、事業の再編や拠点の統廃合を急いで営業利益を3500億円へと同5割増やす方針だ。eアクスル事業の目算が狂った車載事業では中国やインドで日系メーカーに販売攻勢をかけ、収益を立て直す。
新たな3カ年中期経営計画「コンバージョン2027」で方針を示した。最終27年度に営業利益3500億円(24年度比45.7%増)、営業利益率12%(同2.8㌽高)、ROIC(投下資本利益率)12%(同4.8㌽高)とする目標を掲げ、拡大路線から高収益体質への転換を図る。
中計の目玉となるのが、膨大な子会社や生産拠点の再編だ。同社では、M&Aでグループ入りした施設も含め、グローバルで248拠点を抱える。このうち3割を占める従業員数100人以下の事業拠点を半減させ、法人の統合も進める。変動費と合わせて年間1500億円規模のコスト圧縮効果を生み出し、26年以降の業績貢献を見込む。
事業ポートフォリオも①生活家電・商業設備関連②インフラ関連③データセンター・半導体関連④工作機械関連⑤モビリティ―の重点5分野に絞り込む。不採算事業からの撤退などにも踏み込む。
車載事業では、投資を抑制しつつ日本メーカーとの取引を強化し、収益性を高めていく。シェア狙いの積極投資が裏目に出たeアクスル向け駆動モーターは、中国市場を中心に需要の緩やかな伸びを織り込みつつ、当面は「量は追わない」(岸田光哉社長CEO)方針とする。足元では中国新興の零跑汽車(リープモーター)に加え、トヨタ自動車が現地合弁を通じて生産する電気自動車(EV)にも同社製モーター部品が採用された。スズキが増産投資を進めるインドでも工場新棟の建設を進めており、取引拡大を狙う。
車載事業の責任者も務める岸田社長は、25日に開いた説明会後の質疑で「(近年の車載事業不振の)張本人として、中計3年間をかけて業績に貢献する事業へと立て直す」と語った。