24年度の中古車輸出も高水準だった

 日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA、佐藤博理事長)が発表した中古車輸出台数(車両価格20万円以上)によると、2024年度は前年比1.5%減の157万3359台となり4年ぶりに前年割れした。足元では2カ月連続のプラスになるなど上向いているが、昨夏の世界的なコンテナ不足に起因する一時的な出荷の大幅な落ち込みをカバーしきれなかった。ただ、ボリューム自体は過去最高の23年度(159万7632台)に迫る水準であり、海外で日本の中古車人気も根強いまま。トランプ関税で貿易の不透明感は出ているものの、25年度も堅調な出荷が続きそうだ。

 JUMVEAが公表した中古車輸出台数を基に、日刊自動車新聞が24年度実績を算出した。

 国別ではアラブ首長国連邦(UAE)が同3.2%増の22万6752台で、2年連続でトップを維持した。UAEは日本車を求める周辺諸国へのハブ拠点となっていることも追い風となった。一方、2位のロシアは同7.5%減の19万2289台で、首位への復帰はかなわなかった。現地では24年、自動車リサイクルに関する税制が変更されたため、車の需要が落ち込んでいるもよう。この影響が全体実績の伸び悩みにつながったとみられる。これ以外では、今年度も日本の中古車の耐久性や品質の高さを評価している中東やアフリカ諸国への出荷増が目立った。

 また、24年度は為替が円安に振れたことで、日本車の割安感が高まったことも、輸出を後押しした。しかし、米国のトランプ大統領による通商政策の度重なる変更により、一気に円高が進むなど不安定な状況となっている。今後の影響が未知数なため、慎重な構えをみせる中古車事業者も増えてきた。

 ただ、トランプ関税自体への影響について、佐藤理事長は「中古車の対米輸出は全体の約1%であり、影響は小さい」とみている。実際、24年度は同7.1%減の1万6502台にとどまり、全体を左右するほどのボリュームはない。25年度についても「貿易摩擦によって世界経済が冷え込まなければ、中古車輸出は伸びるのでは」としている。

 3月実績は、前年同月比3.6%増の15万5811台。仕向け地別ではUAEが同5.1%増の2万4037台で、6カ月連続の1位。2位のロシアは同9.6%減の1万5083台で、4カ月連続のマイナスだった。