社内外の交流スペース「集(TSUDOI)」

 デンソーは、東京都港区・新橋に開設した新拠点を報道陣に公開した。従来、都内6カ所あったソフトウエア開発などの拠点を集約することで効率化。ソフトウエア人材を集め、人工知能(AI)やSoC(システム・オン・チップ)など先進分野の研究開発を加速させる。人材が交流できるスペースを設置することで、他企業との協業も促す。

 デンソーは愛知県刈谷市に本社を置き周辺に多くの生産拠点を構えるが、創業当時から都内に営業拠点を構えていた。1989年には東京支社を開設し、官公庁との連携強化のために渉外機能を設置。2016年には中央区・日本橋に東京支社を移転し、電動化や知能化を見据えた人材確保と育成に乗り出した。

 20年には自動運転などの開発から実証まで一貫して行う研究開発拠点を大田区羽田に開設。東京エリアのグループ従業員数はこの10年で2倍超となる1700人にまで拡大した。1月に東京エリアの6拠点を新橋に新設した新オフィスと羽田の研究開発拠点に集約した。これにより入居コストは従来より2割削減できるという。

 新拠点は新橋と虎ノ門の中間地点にあるオフィスビルに入居し、社内外の人材が交流できるスペース「集(TSUDOI)」や各部が開発する先進技術などを展示する「D+」、開発中の製品をユーザーや専門家に評価してもらうインタビュールームなどを設けた。

 新拠点の従業員数はグループも合わせて約1千人となり、その多くがソフトウエア関連の技術者となる。デンソーでは30年までにソフトウエア関連技術者を1万8千人体制とする計画を掲げる。

 東京支社担当の横尾英博経営役員は「東京は人と情報の集積地。東京はソフトウエアなどの先端分野や異業種からの優秀な人材が採りやすい。特に東京で力を入れていきたい」と人材確保に意欲を示す。