トヨタ自動車は、国内の音楽産業の海外進出を支援する。音楽業界の主要5団体で構成しているカルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA、東京都港区)と協力し、音楽で世界に挑む「人」の育成と、世界に発信していくための「場」を提供していく。
トヨタが今秋、都内に新設する次世代アリーナを活用するほか、グループが展開する海外拠点と連携して海外活動をサポートする計画。音楽も含めたコンテンツ産業の輸出額は年間約5兆8千億円。最も外貨を稼いでいる自動車産業が音楽の海外展開を支え、さらなる国内産業の活性化につなげる。
プロジェクトでは、次世代音楽人材の発掘や育成を図る複数のプログラムを用意する。また、米国、欧州、アジアに拠点を設置し、アーティストの海外活動をバックアップする。トヨタの体験型ショールーム「メガウェブ」の跡地に建設する「トヨタアリーナ東京」の活用も検討する。
都内で25日に開いた会見で、豊田章男会長は「クルマも音楽も日本を支える産業だ。エンターテインメントも日本のために世界で戦おうとしていることを知り、純粋に応援したいと思った」と、取り組みの理由を明かした。CEIPAの松村俊亮理事長は、自動車関連の輸出額が年間約22兆円であることに対して「コンテンツ産業も自動車くらいの規模にしたい」と意気込む。
一般的に車内で音楽を聴くドライバーは多く、クルマと音楽の親和性は高いが、音楽産業の海外展開支援とトヨタの自動車事業との関係性は低そうだ。ただ、豊田会長は「クルマをもっとエモーショナルな存在にしたい。トヨタは音楽から学ぶべきことがあるはず」と語った。


