【京都】住友ゴム工業は、住宅用制震ユニット「MIRAIEΣ(ミライエシグマ)」を施工した実物大の建物での振動台実験を京都大学宇治キャンパス京都大学防災研究所(宇治市)で行った。1月の能登半島地震で観測された震度7相当の地震波を最新の技術により再現し、2階建ての木造試験体の加振による影響を検証した。
同社は、1995年の阪神・淡路大震災で神戸本社・工場(神戸市中央区)が被災したことをきっかけに、本格的に制振技術の研究を開始。東日本大震災の翌年の2012年からミライエを販売した。震度6弱以上の地震が発生したエリアを調査したところ、ミライエを設置した1829棟中、全壊・半壊した家屋はなかった。
ミライエΣには、過酷な環境で使用するレーシング用タイヤの技術を応用し、地震の揺れを低減する摩擦特性を持った「高減衰ゴム」を採用。地震エネルギーを熱エネルギーに効率よく変換する性質を持ち、家屋の変形を抑え、損傷を防ぐ。
実験は、ミライエΣを設置していない耐震等級3相当の試験体は2日、設置した試験体は6日に行った。設置しない場合、大きな揺れに反応して全体が大きく変形し、2回の加振で倒壊レベルに達した。一方で、設置した試験体は損傷することなく、10回までは耐えることができた。
ハイブリッド事業本部の松本達治副本部長は、「阪神・淡路大震災では多くの社員が被災し、被害の大きさを目の当たりにした。震災こそが当社の制震装置をつくるきっかけだった」と話し、開発の社会的意義を訴えた。