フォード・モーターは20日、2027年末までに欧州の従業員約4千人を削減すると発表した。同時に電気自動車(EV)2車種と独EV専用工場の生産調整も実施する。欧州ではEVの販売減速が顕著で、同社は主要市場である独政府に対して補助金などの支援を求める書簡を出した。

 人員削減は主に独の従業員が対象で、英国の800人など一部他国の生産拠点も含まれるという。23年2月に公表した、3年間で約3800人を削減する計画に追加する形で実施される。

 また欧州で生産するSUV「エクスプローラー」と、クロスオーバーSUVとして復活した「カプリ」のEV2車種は2025年1~3月期に生産調整を実施する。20億㌦(約3100億円)を投じて昨年EV専用工場へと改修した独ケルン工場も短時間勤務の日数を増やすとしている。

 欧州自動車工業会(ACEA)によると、フォードの24年1~9月の欧州販売は、前年同期比15.3%減の23万6081台にとどまり、苦戦している。特にEVの販売減速による影響が大きいとみられ、昨年末にEVの購入補助金を終了した独政府に対し、充電インフラへの公共投資や補助金、環境規制に対する柔軟な目標達成などを求める書簡をジョン・ローラー副会長兼CFO(最高財務責任者)名で発出したことも明らかにしている。