エイチワンの郡山工場

 ホンダ向けを主力とする車体プレス部品メーカーのエイチワンは、北中米に経営資源を集中投資して、事業拡大に乗り出す。米国テキサス州など、北米に複数の工場新設を検討するとともに、ホンダ以外の受注獲得を本格化していく。同社は、国内で郡山事業所(福島県郡山市)の工場と開発技術センターを2026年3月末に閉鎖する予定。事業拡大が見込める地域に投資を集中させるとともに、不採算部門の整理を急ぐなど事業の選択と集中を徹底し、筋肉質な経営体制を目指す。

 同社は現在、米国オハイオ州やカナダのオンタリオ州など、持分法適用会社を含め北米に生産工場を5拠点展開している。北米事業は高い成長が見込めることから、集中的に投資して生産・開発体制を拡充することにした。

 北米の各工場は今もフル操業だが、プレス部品の新規受注が増えていることから、生産能力を増強する。アラバマ州にプレス部品の工場を新設するほか、北米域内の他の地域でも工場新設を視野に入れる。ホンダが電気自動車(EV)の生産工場を新設するカナダや、米国デトロイト、メキシコなどが候補地だ。同時に、新規受注の獲得にも力を入れていく。北米では、テスラやトヨタ自動車、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターなど、エイチワンの主力納入先であるホンダ以外の北米拠点からの受注が拡大している。同社は新規受注を利益率の高い案件に絞り込んでおり、収益向上にも寄与する。

 ただ、米大統領に返り咲くドナルド・トランプ氏が公約通り輸入品に一律関税をかけたり、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を見直したりする場合、自動車・部品メーカーは北米事業の見直しを迫られる可能性もある。しかし、エイチワンの真弓世紀社長執行役員は、メキシコとの貿易協定が見直されると「米国経済が苦境に立たされる。経済合理性を考えた政策になると考えている」とみており、今後も北中米事業に集中投資する方針だ。