商談時にお客さまから、どちらの商品がお薦めかと聞かれた際に「どちらもお薦めです!」「お客さまによってさまざまです」などのワードを使っていませんか?実はこのワードがお客さまの判断を鈍らせ、成約に至らないケースがあります。
食事に行き、メニューを見てAとBのどちらを選ぼうか迷っているとします。その際、店員に「どちらの商品が人気ですか?」と聞くと、「どちらもお薦めです。お客さまによりますね」と返されたら、ますます悩んでしまいますよね。一方、「こちらの商品が現在当店でイチオシの商品なので、迷われているなら是非こちらを食べて下さい!」と自信たっぷりに言われると、その商品を選びやすくなります。
商談でも同じことが言えます。お客さまから選び方を質問されたら、その質問をしたお客さまの心理状況を考えてみましょう。数ある商品の中から選んでいる時、実は悩むというストレスを抱えています。そしてこのストレスを解消するために、プロであるセールスパーソンの意見を聞きたいのです。
しかし、セールスパーソンに質問して「どちらもお薦めです」などと言われれば、さらに深く悩むというストレスを抱えてしまいます。こうしたストレスの積み重ねが、お客さまに「検討します」「一旦持ち帰ります」というワードを言わせてしまいます。セールスパーソンの一言がお客さまを悩ませ、決断させにくくしているのです。
お客さまから質問があった際は、その質問の真意は何なのか、どういった事を求めているのかをセールスパーソンがしっかりと気持ちを汲み取り、選択肢を尋ねられた際は、お客さまのニーズから勘案し、プロの立場で「こちらの商品の方がお客さまにとってピッタリです」と自信を持って背中を押してあげてください。私自身も気を付けなければならないことですが、自分が発する言葉が相手に影響を及ぼすことを再認識しましょう。
文:株式会社プログレス 江原忠宏
〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、2020年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、41歳。