豊田合成はトラックの積載効率をAIで高めている

 トヨタグループ各社が物流「2024年問題」への対処を急いでいる。デンソーとアイシンは、複数の仕入れ先からの部品を対象とした共同輸送を行う。6月に両社で実証し、効果を確認できたことから本格運用に入る。トヨタ自動車やグループ各社では「引き取り物流」の導入や荷役作業に人工知能(AI)を用いるなどの取り組みも進める。輸送効率や生産性の向上を通じ、ドライバー不足などの課題に対処していく。

 両社は6月に愛知県内で共同輸送の実証を始めた。両社がそれぞれ取引するティア2(2次部品メーカー)からの納入物流が対象だ。両社の物流ノウハウを持ち寄り、運送会社などの協力のもと、部品を混載したトラックを走らせた。この結果、納入便の本数が約3割減るといった効果を確かめたことから本格運用に切り替える。共同輸送範囲の拡大にも取り組んでいく。

 グループ各社も物流効率化を急いでいる。トヨタ紡織は、2030年度を最終年度とする中期経営計画で物流革新に取り組んでいる。荷物量や配送ルート、配車数などを自動で最適化する物流オペレーションを構築し、高効率な引き取り物流へ切り替える。引き取り物流は納入側ではなく、荷主側が輸送会社を手配し、複数の企業間を1台のトラックが集荷して回る「ミルクラン」を含め、部品を取りに行く物流形態だ。同社は「自動荷降ろし」などの開発や、物流中継拠点の建設も進めていく。こうした工夫を通じ、ドライバー不足に対応するとともに、物流における二酸化炭素(CO2)排出量の3割削減を目指す。

 豊田合成は、積載量の算出をAIで自動化するシステムを開発し、みよし物流センター(愛知県みよし市)や物流子会社、TGロジスティクス(堀江亮社長、愛知県一宮市)の拠点で順次、導入している。

 トヨタは16年ごろから引き取り物流を順次、広げている。トヨタがティア1(1次部品メーカー)からの物流を、ティア1がティア2以降の物流を効率化することで、サプライチェーン(供給網)全体の物流効率化を進めている。