オートガレージ(岡壮彦社長、宮城県東松島市)は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波により、本社が全壊する被害を受けた。その後、2年かけて会社を再建。同時に、就業規則などを見直した。きっかけは、被災して家族と過ごす時間の大切さに気付いたこと。残業ゼロや日曜、祝日を定休日にするなど、働きやすい職場づくりの実現に取り組んだ。
同社は震災前、本社のほかに営業所や展示場を設けていた。また、「いつでもどこでもお客さまの車をメンテナンスできるようにする」(岡社長)ため、365日24時間体制のレッカー事業も展開。土日祝日や夜間の勤務は当たり前だったという。
業務体制を変えることにしたのは、震災で一時家族と離れ離れになった経験から。当時、岡社長は帰宅途中に石巻市内で働く娘を迎えに行くところで津波に遭った。車は動かなくなり、泳いで移動するものの家には帰れず、近くに住む常務に助けられた。翌日から家族を探して歩く中で、これまで子どもたちと過ごす時間が少なかったことを悔いたという。数日後、無事に再会することができたときに「自分も社員も家族と過ごす時間が足りなかった」と考えるようになった。
会社を閉めることも考えたが、グループ補助金などを活用して再建を決断。ただ、新体制では「社員が幸せになることを本格的にやる」(岡社長)と決意した。まずは、残業をせず、休みを取りやすい環境を整えた。レッカーは、岡社長が対応できる範囲で稼働し、難しい依頼は提携事業者に委託するようにした。
働き方を見直したことで社員の仕事に対する姿勢も変わり、限られた時間の中で効率良く作業を進めるようになるなど、良い相乗効果も生まれた。顧客からは「土日に入庫したい」「緊急時はどうしたらいいのか」と言われたこともあったが、震災時の経験を丁寧に説明することで理解を得ている。顧客離れもないという。
岡社長は、経営理念の「敬愛」を胸に、「ここで働くことができて良かった」と感じてもらえるような会社づくりを続けていく方針だ。
〈受賞コメント〉
岡 壮彦社長
このような賞をいただくことができて感謝している。地元の新聞などにも取り上げられ、会社のことを知ってもらうきっかけとなった。震災で津波に遭ったことでいろいろなことを考え、気付きがあった。社員が幸せにならないと自分も幸せになれない。引き続き、社員が働きやすい職場にしていきたい。
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