隅谷専務と開発車両
久松自動車販売社屋

 架装車両の販売などを手掛ける久松自動車販売(久松孝治社長、大阪府羽曳野市)は、トラックの架装部とシャシーを簡単に分離できる「セパレートボデー」や、AT限定運転免許でも扱いやすい「アルミ板3.5tトラック」など独自商品の拡販に注力している。製品の開発や製造は、グループ会社の栄進ボディ工業(隅谷奉功社長、三重県津市)が担っている。

 久松自動車販売では、物流業界が直面する「2024年問題」の解決などを目的に、2020年8月からセパレートボデーの開発を始めた。車台から荷室部分を分離しても、それだけで自立が可能な設計になっている。専用の昇降装置で荷室部分を持ち上げ、自走して分離する仕組み。ただ、車両側がすべてエアサスペンションであれば、昇降装置を使わずに着脱が行えるという。また、荷室部分には支柱(アウトリガー)を取り付けることで、安定させている。

 物流事業者らにとっては荷室部分を着脱することで、貨物の積み下ろしが可能になるため、運転手が荷役作業を行う必要がなくなるメリットがある。また、長距離の輸送が必要な貨物でも、中継拠点まで運び、次のトラックに引き継ぎやすくなる。このため、日帰りでの運行もしやすくなり、作業効率の向上や拘束時間を短くできる効果も見込める。

 同社では、全国各地の架装や整備事業者など10社とセパレートボデーの修理や販売で提携している。今後は全都道府県の事業者と連携し、セパレートボデーの普及を目指す。これにより、2024年問題の解決につなげる考えだ。

 また、同社のアルミ板3.5tトラックは、17年3月に「準中型運転免許」が新設されたことに伴って開発した。普通免許でも運転できるのが特徴で、地元の大手運送会社で80台の導入が決まるなど販売が好調だという。今の普通免許の取得者はAT限定を選ぶのが大半なことも、考慮している。同社ではこの製品の拡販を見込んでおり、将来のメンテナンス需要の獲得も見込んでいる。

 〈受賞者コメント〉

 隅谷 奉功専務

 商品を開発して以来、物流事業者などからの要望を受けて改良を重ねたこともあり、多くの導入企業から喜んでいただいている。今後も、商品を販売する提携企業を増やすことで、架装や整備事業者の売り上げの拡大に貢献したい。また、商品が普及することで、トラック運転手の安全意識を高め、業務に励む効果も期待できる。

(関西支社・松尾 隆浩)