ヤリスクロス

 認証不正でトヨタ自動車とマツダの一部車種の出荷が停止している問題で、両系列の販売現場では先行きの不透明感が出ている。発覚直後に顧客への説明を最優先に動いた販売会社が多く、「受注のキャンセルはほぼない」(西日本のトヨタディーラー)ほか、「(対象車に乗る顧客から)『買い取ってほしい』という強めのクレームはない」(マツダ販社の営業担当)という。ただ、双方、一定のボリュームが見込める車種が含まれており、これらの販売ができない状態が長引けば、「業績への影響は徐々に表面化するのではないか」(トヨタ系販社首脳)と懸念する声も上がっている。

 トヨタは小型SUV「ヤリスクロス」とロングセラー車「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」、マツダでは小型車「マツダ2」とスポーツカー「ロードスターRF」の出荷・販売を6月上旬に停止した。ディーラー各社はこれらの車種を注文していた顧客に、納期が不明になったことや安全性には問題がない点などを伝えるなどしている。関西のトヨタ系販社のトップは「1件ずつ丁寧に説明していくしかない」と語る。あるマツダの販社も「過去生産車でも顧客説明は必須とし、当社は全数対応で動いている」としている。

 販売現場では影響を最小限に抑えるべく顧客対応に力を入れているが、各モデルの生産再開は早くとも8月以降になる見通し。23年末に問題が明らかになったダイハツ工業の例では、生産や出荷の再開まで数カ月かかった車種もあった。仮に、生産が再開しても受注残の解消が先で、新規受注を獲得できるまでにはさらに時間が必要になることも想定される。あるマツダディーラーのトップは、「販売の正常化には少なくとも半年はかかるだろう」とみている。トヨタ系の幹部も「長引くほどチャンスを失う」「今、受注が取れない影響は年後半に表面化するだろう」と不安を募らせる。

 特に、各社が警戒感を強めているのが、出荷停止となっているのが人気車種のためだ。西日本のトヨタ販社のトップは「ヤリスクロスは人気車種だけに受注台数が数百台あった」と明かす。マツダ2も23年度のマツダ車の販売台数で2番目に多かった。こうした車種の営業活動に制限がかかったままでは、「24年度の業績への影響は避けられない」(マツダ系首脳)ほか、各社の将来戦略に響く可能性もありそうだ。