モーター関連部品

 ユタカ技研は、電動車向け駆動用モーター事業の拡大に乗り出す。今年度中にモーター関連部品のパイロットラインを国内工場に新設する。今年2月にモーターコア積層パイロットラインを導入した中国では、納期短縮につながる生産技術の開発を急ぐ。モーター関連部品を幅広い自動車メーカーへ売り込み、2030年度にはモーター事業の売上高を23年度の5倍以上となる400億円に引き上げる考えだ。

 同社は、内燃機関車向けの排気系部品が売上高の半分を占めている。一方で、主要納入先のホンダが40年までに販売するモデルを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)だけにして内燃機関車から撤退する方針を示していることもあり、排気系部品事業の縮小は避けられない。このため、電動車シフトに伴って需要拡大が見込まれるモーター関連事業を本格化する。

 国内工場にステーター(固定子)の巻線加工を担うパイロットラインを今年11月に新設する。自動車メーカーからの受注を得てモーター関連事業の業容拡大を図る。国内工場にはモーターコアを積層する後工程のパイロットラインも12月までに設置し、コスト競争力につながる生産技術を開発する。モーターコアは駆動用モーターシステムなどを手がけるティア1(一次部品メーカー)への供給を目指す。今後、アジアの各拠点に展開することも視野に入れる。

 2月にモーターコア積層パイロットラインを設置した中国では、高速加工などに取り組み、短期間に新型車を投入している地場系自動車メーカーのニーズに対応する。モーター関連部品はホンダ以外の幅広い自動車メーカーに提案していく方針。このため、国内拠点には「モーターアッセンブリ開発検証設備」を25年1月に導入し、モーターの機能性を含め、仕様を提案できる体制を整える方針だ。

 ユタカ技研のモーター関連事業の売り上げは23年度が71億円だった。30年度までに400億円にまで増やし、事業の柱の一つに育成していく。