トヨタ自動車は開発中のエンジン2機種を公開した。いずれも4気筒で、排気量は1.5㍑と2㍑。それぞれ自然吸気(NA)と過給器(ターボ)仕様がある。燃焼技術を磨き、従来よりも熱効率を高めて動力性能と低燃費を両立させた。搭載自由度も高い。欧州連合(EU)の排ガス規制「ユーロ7」が施行される見通しの2028年をめどに市場投入を目指す。
最高技術責任者(CTO)の中嶋裕樹副社長は「従来のエンジンを残すのでなく、電動化時代に適したエンジンをゼロからつくった」と語った。
2機種とも従来の同排気量エンジンに比べて熱効率を高めた。1.5㍑ターボエンジンは2.5㍑NAと同等の出力を出す。過給器や電動化技術と組み合わせることで、幅広い出力レンジを2機種でカバーする。エンジンの種類を減らし、サプライヤーの負担を軽くする狙いもある。
ほぼ同じ性能を持つ従来のエンジンと比較して体積ベースで最大2割ほど小型化したことも特徴だ。従来よりシリンダーのボア(内径)を広げ、ストロークを短くすることでエンジンの高さを抑え、搭載自由度を高めた。
新型エンジンと電動化技術を組み合わせれば、ユーロ7に適合させつつ、高出力を維持できるという。中嶋副社長は「モーターとエンジンが持つパフォーマンスをうまく合わせることで(車両コスト増につながる)触媒をリッチにしなくても済む」と話す。
新型エンジンは、バイオマス(生物由来)燃料や「eフューエル」などカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)燃料の利用も想定する。組み合わせる電動化技術は従来のハイブリッド機構の延長ではなく、26年にも市場投入する次世代電気自動車(EV)をベースとする。中嶋副社長は「国内の90%近くは1日140㌔㍍くらいしか走らない」と述べ、電池搭載量をEV走行距離200㌔㍍程度に抑え、長距離を走る場合はカーボンニュートラル燃料によるエンジンを用いる「プラクティカル(実用的)なEV」(中嶋副社長)の構想も披露した。