旧ビッグモーターが1日付で、新会社のウィーカーズ(田中慎二郎社長、東京都千代田区)と、債務処理のBALM(バーム、和泉伸二社長、東京都多摩市)に分割された。この再編の過程で、旧ビッグモーターの創業者が持っていた全株式が、ほぼ無償譲渡されていたことが分かった。創業家はバームに最大100億円の資金を提供することにもなっている。旧ビッグモーターを破たんに追いやった経営責任を、創業家が金銭面で補って「けじめ」をつけるスキームだったもようだ。

 旧ビッグモーターの買収は伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP、佐藤雅典社長、東京都千代田区)の3社が400億円を投資した。ウィーカーズには3社が出資するが、バームはJWP系ファンドの100%子会社になる。旧ビッグモーターは創業家の資産管理会社が全株式を持っていた。この株式は今回すべてJWP側に譲渡されたが、ほぼ無償だったという。

 1日の会見で、伊藤忠の真木正寿執行役員は創業家が保有していた株式の購入額について、「いろいろな関係で金額は言えないが、われわれが投資した400億円は(創業家の)兼重(宏行前社長)さんのところには流れていない」と語った。伊藤忠出身のウィーカーズの合六渉経営企画部長は、「400億円の一部が会社分割の対価としてバームにいくが、金融機関など債権者の返済原資になる」と説明。さらに、「創業家にお金が渡るどころか、逆に創業家からもそれなりに(資金提供で)責任をとってもらうのがこのスキームだ。われわれの出資金が(創業家の株式購入など)そのような形に使われることは一切ない」と強調した。

 また、会見には今回の買収に関わった伊藤忠の幹部ら4人が出席したが、みな兼重前社長とは会ってはいないという。