決算を説明するアルノ・アントリッツCFO(写真中央)

 フォルクスワーゲン(VW)グループは、2024年12月期の売上高が前年の3223億 ユーロ (約52兆1369億円)から最大5%増え、営業利益率は前年並みの7・5%となる見通しを明らかにした。24年は30以上のモデルを投入するが、足元では電気自動車(EV)販売が減速しており、欧州でEV生産体制を縮小し、コスト削減を進める計画だ。

 23年12月期業績は売上高が同15・4%増の3223億 ユーロ 、営業利益は前期比と同水準の226億 ユーロ (約3兆6558億円)となったが、営業利益率は同1・1㌽減の7%だった。売上高は、同グループの中核ブランドであるVWなどでは同21%増の1378億 ユーロ (約22兆2912億円)、アウディやランボルギーニ、ベントレーなどでは同13%増の699億 ユーロ (約11兆3073億円)、ポルシェでは同8%増の373億 ユーロ (約6兆338億円)だった。

 EVは、同35%増の7万7100台を販売した。欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州の2023年のEV販売台数は前年比28・2%増と大幅に伸びた。ただ、足元では販売に急ブレーキがかかる。ドイツでは24年末までとしていたEV購入補助金を1年前倒しで打ち切り、フランスも低所得者向けのEVリース補助金プログラムを止めた。イギリスでは、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の補助金がすでに廃止されている。

 VWは今夏から本社工場でEV「ID.3」を生産する予定だったが撤回した。代わりにエンジン車の生産を検討していく。

 欧州連合(EU)では、35年以降、ガソリンなど二酸化炭素(CO2)を排出する車両の新車販売が禁止される方針だったが、合成燃料を用いる場合はエンジン搭載車の販売を容認する方針に軌道修正された。

 VWグループは2030年に新車販売台数の5割をEVとする目標を掲げる。補助金の停止やEUの方針転換により、この目標を修正する可能性も出てきた。