自動車保険金の不正請求問題で経営が悪化しているビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)について、主力取引行の三井住友銀行が約300億円のつなぎ融資をする方向で調整していることが分かった。ビッグモーターについては伊藤忠商事と伊藤忠エネクス、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(佐藤雅典社長、東京都千代田区)の3社連合が買収に向けた資産査定(デューデリジェンス)に入ることを表明しているが、判断は来春までに行う。ここまでビッグモーターの資金が持つか、焦点となっていた。

 関係者によると同社では中古車の買い取りは底を打った状況だが、小売りは依然厳しく、買い取り車の一定数をオークションで販売して資金を確保しているもよう。仮に、3社連合の資産査定中に、資金繰りがつかず法的整理になった場合は、金融機関も債権を回収できなくなることから、つなぎ融資に踏み切る方向となった。同社の主要取引銀行はほかにもあるが、現時点では三井住友銀行単独での融資になる可能性が高い。現在、他行の理解を得るために話し合いをしているとみられる。