三井住友海上火災保険の調査委員会(委員長=中原健夫弁護士)が公表したビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)問題の調査報告書で、損害保険ジャパンの親会社であるSOMPOホールディングスが10月に公表した調査報告書の一部について「反論」する部分があった。ビッグモーターの不正に気付いた三井住友海上、損保ジャパン、東京海上日動火災保険が取引を一時停止していたとき、損保ジャパンだけが取引を再開した件での3社のやりとり。SOMPOHD側が聞いていたとしていた証言が、確認できないことが明らかになった。この点は、金融庁も注目していた。

 SOMPOHDの中間報告書では「2022年6月、『ほかの損保(三井住友海上か東京海上日動)の中で早期幕引きを希望している社がある』『ほかの損保(同)からビッグモーターにおもねるような提案がされた』『ほかの損保(同)が抜け駆けとも受け取れる発言をした』と、ビッグモーター幹部から損保ジャパンの社員が聞いた」と書かれている。しかし、この点について三井住友海上の調査委が、発言者の一人とされるビッグモーターの部長に、先方の弁護士を同席させた上で面談したところ、「そういう発言は聞いていないし認識もない」と、事実関係を否定する主旨の回答をした、としている。この部長は、「そのころは自主検証の報告書すら出していなかったので、どの損保も単独でそのような発言ができる状況ではなかったはず」と話していたという。

 これについて、SOMPOHDは「外部調査委員会の調査が継続しているためコメントは差し控える」としている。